会社帰りにエリザベスに立ち寄り、変身を楽しんだりします。

それも多くても月1回程度です。

仕事と家庭のバランスから、なかなか思うようにできません。


予約制のサロンにももっと行きたいけれど、仕事柄先々の予定が立たない。

だから、予約しようと思った時には、もう予約が埋まっているのです。


エリザベスは21時まで居られますが、あまり遅いと家で怪しまれるので、なるべく早めに帰ります。


会社帰りにはいつも家に電話をします。

事前に電話をすることで、妻が食事の支度を始めるのです。


だから、エリザベスの帰りにも、浅草橋から電話をすることになります。


エリザベスは浅草橋駅の裏なので、その周りは意外と人通りがあります。

女装サロンから出てきたところを人に見られるのは嫌なので、少し回り道をして帰ります。


浅草橋の駅の近くは、総武線の駅のアナウンスが響くのです。

「あさくさばし~、あさくさばし~」という音声が聞こえてしまいます。

なので、駅から少し離れたところから家に電話をします。


大抵は裏道の薄暗いところで、月明かりを頼りに電話をします。


「今仕事終わったので、これから帰るよ。」

「わかった。待ってるよ。」


今日もまた嘘をついてしまった。。。

女装帰りはいつも罪悪感に苛まれるのです。


こうやって、永遠に嘘をつき続けなければならないのでしょう。

厄介なものを好きになってしまったと思うのです。





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