今から20年以上前、東京の女装サロンといえばエリザベスくらいしかありませんでした。

サロンを求めて来る女装者は、みなエリザベスに集まっていたといっても過言ではないと思います。


そのエリザベスが雑誌を発行していました。

「くいーん」というタイトルです。


表紙と裏表紙を飾るのは、エリザベスに集う方の中でも選りすぐられた方々でした。

アメブロをやっている相沢一子さんもセーラー服姿で表紙を飾っていました。

とても清楚で憧れの存在でした。


雑誌の中は巻頭にグラビアがあり、女装に関する特集記事や、初女装者の紹介(デビュッタントクイーン?)、求友メッセージなんかが載っていたと思います。


当時、まだ若造でエリザベスになかなか近づけなかった私は、くいーん誌を読んでエリザベスに行った気分になっていました。

エリザベスのサロンにはほんのたまにしか行く勇気がありませんでしたが、ショップには行っていましたので、自宅に持ち帰って何冊も隠し持っていました。

この雑誌は、全国の書店でも扱っていて、神田神保町のH本専門店「芳賀書店」でも売っていたと記憶しています。


当時、エリザベスの常連だった方で、現在もエリザベスに通われている方は、とても少ないのではないでしょうか。多くの方がエリザベスを卒業し、また女装自体やめてしまった方も多いと思います。


くいーん誌を読んだりエリザベスのサロンに行って、レベルの違いを肌で感じた私は、自分自身、この趣味はどこかで区切りをつけなければならないと思っていました。

しかし、自分の思いとは裏腹に今に至るまで細々と続いてしまっています。


くいーん誌は結構長く発刊されていたと思いますが、インターネットが普及し始めたころ廃刊になったようです。私の持っていたものも結婚することで、処分せざるを得ませんでした。


まだ、女装に関する情報が少なかった時代、くいーん誌が果たした役割は大きかったと思います。


実はこのくいーん誌、まだ浅草橋のエリザベス2Fで販売しています。

売っているのは在庫がある分だけだと思うのですが、見るたびに懐かしくなります。





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