作家の読書道 垣根涼介
その作者が言いたいことがある作品が好きです。彼がその作品を書くに値すると思って書いている作品が。そういうのって必然的に熱がこもる。ただ文字面を埋めるために書いているものなんて魅力がない。スティルライフなんて一行目からビリビリきてる。「この世界が君のために存在すると思ってはいけない。世界は君を入れる容器ではない」なんて。熱がある。文字面、行間から放熱しているという感じが好き。それは冷たい熱でもいいんですけど。言いたいことのある人の作品に引き込まれる。その言いたいことに対するバイアスのかけ方を読むのが、僕にとって小説を読むことの意味ですね。彼の目には今、世界はこう映っているんだ、と現実世界の新しい切り取り方を感じることができる。それが、本を読む楽しみです。
