テナー高知尾です!
今回お題が「オススメの曲、名盤」ということで、真っ先に浮かんだのがこれです。我が師匠の林田祐和先生のカルテット、クローバーサクソフォーンカルテットによる「ゴルトベルク変奏曲」。




「美しい」。その一言に尽きます。正直、自分はこれを聴くまでバッハが苦手でした。「堅苦しい」「無表情」「音の羅列感」「眠くなる」など、格式高過ぎて自分にはどうも理解できなかったんですね。色で言うと茶色なイメージ。
しかしクローバーのゴルトベルクを聴いてその印象が変わったんです。「バッハってこんなに色彩豊かなんだ」と…
天から降ってくるような音色なんです。それでいて1音1音の全ての音に表情があって、どこまでも自然な音楽解釈。アリアが終わり、第一変奏が始まった瞬間の幕開け感や幸福感といったら、涙が出そうになります。(自分だけかな…?)

学生時代、林田先生みたいな音が出したくて、先生に聞いたことがあります。「先生はロングトーンをされますか?」
先生は「しない」とおっしゃいました。「良い音は1つじゃないから。ロングトーンは音色が1つに限定されすぎる。それよりも曲の中で音を作っていくことが大事。」(一言一句定かではありませんが…)
なるほどと思いました。今の自分の音、音楽性の8割は、林田先生から影響を受けたものであることに間違いありません。

アルバムの話に戻りますが、このアルバムはゴルトベルク変奏曲全曲のほか、イタリア協奏曲、トッカータとフーガと、オールバッハで楽しめる1枚です。でも僕はなんといってもメインのゴルトベルクが好きですね〜
ゴルトベルクといえばグールドを忘れてはなりません。




グールドはクローバーの後に聴きましたが、言うまでもなく素晴らしいです。このアルバムは1955年の録音と1981年の録音を聴き比べることができます。自分は1981年の方が好きかな。録音技術が進歩して録音状態が良い、というのも理由の一つでありますが。最初の録音はやや技巧的だったのに対し、あとのものは表現、解釈が完成されている印象です。本当に素晴らしい。あとグールドの歌声もばっちり聴けます笑

以上です!良かったら聴いてみてください!