「不動産の相続登記」の義務化は、既にスタートしております | 住空間Arcadia株式会社

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人生において、一番大きな財産である不動産に関わることが、私共の仕事です。どうぞよろしくお願いいたします。

4月1日から「不動産の相続登記」の義務化施行されました


不動産の相続登記とは、不動産の所有者が亡くなったあと、相続人となる方々が、所有者が誰なのかを登記(登録)しなければならないというものです


(⚠登記義務を怠った場合には、「10万円以下の過料」が課される 罰則規定も設けられました

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これにより、

「相続登記の済んでいない不動産を持っている方々」は勿論のこと、

「親は不動産を持っていないし、自分は関係ないだろう」といった方々も、

”寝耳に水”な相続登記義務を負う場合もあり、想像以上に多くの方が、この義務化の対応を迫られるかもしれないのです

 

不動産の相続登記は、これまでずっと、義務ではありませんでした

この背景には、登記は「権利の記録」という意味合いが強いことがあります

 

相続によって「(不動産という、高額の)財産を自分のものにできる権利」を得られるため、その権利を得た相続人は、その登記手続きをわざわざ義務化する必要もなく、自発的に登記をするだろう、という発想があったものと思われますが、今はこの背景が大きく変わってきております

 

例として挙げれば、長期に及び放置された山林や農地・過疎化が進んだ農村部の空き家等など、所有するにも売却するにも支出を伴うような不動産が増えてきている状況があるのです

 

これらの不動産は、必ずしも

「不動産=プラスの財産」という事にはならず、

資産価値に比べて支出の方が大きい

「マイナスの負動産」となっている状態

が多くのケースとして見られるのです

 

➡このような負動産の場合は、

「奪い合い」にもなり得る市街地の不動産とは異なり、

「押し付け合い」の不動産となり、

相続登記がなされないまま不動産が放置されてしまう事になるのです

(実際に、相続関係者様方がどなたもその話題に触れたがらないというご相談は、ごく普通に存在します)

 

相続登記がなされないままでいると、固定資産税の納税者が分からなくなったり、その土地で事故等が生じた際に、土地所有者が故人のままで、誰に連絡を取ったらいいのか分からなかったりといった事態に至ります

(東日本大震災でも、こういった「所有者不明土地」が、震災復興に向けて大きな課題になったようです)

「相続登記義務化」で何が変わるのか?

①不動産の相続を知った日から3年以内に相続登記手続きを行わなければならない
違反された場合、10万円以下の過料が科されることがあります

※この度の相続登記義務化は、法施行後の相続登記だけが対象ではありません

過去の相続登記が終わっていない不動産すべて 」が対象となります

今まで見て見ぬふりをしてきた長らく空き家状態の実家等について

自分も知りえない、祖父母の代から相続登記が済んでいない山林・数回会っただけのような遠い親戚の田畑等が、突然自分も相続人の一人として、相続登記を強いられるような場面も起こり得てしまうのです

既に相続が起こっている場合、本来登記をすべきだった時期から数年~数十年近く経っているケースもありますが、今現在において相続登記を済ませていない場合は、2027年3月までに相続登記を済ませなければならないこととなるのです

相続放棄は、有効?

相続登記義務化が決定後、この登記義務化の対策として「相続放棄」は有効な対策となり得るのか?

相続放棄をすれば、放棄した人は

➡相続人ではなくなる➡相続登記の権利者でも義務者でもなくなり、その不動産から解放されることになります

 

※⚠相続放棄には意外と見落とされがちなポイントが4つあるようです

実はかなり慎重に検討しなければならない手段であるようです

 

相続放棄の注意点

①「宣言しただけではダメ」
相続放棄は、家庭裁判所へ相続放棄する旨の申し立てが必要となります

➡周囲に「自分は相続放棄をした」と宣言しただけでは、法的には相続放棄したといえないのです

仮に親戚全員に相続放棄をする宣言だけをしていたとしても、本来相続すべき不動産で事故等があり、その近隣住民から管理責任を問われるようなトラブルがあった際に、相続放棄をしていると主張しただけでは認められませんので、注意が必要です

 

期限
相続放棄は、相続を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てをする必要があります

法律上は、いろいろな事情を考慮して「相続を知った日」という表現になっていますが、例えば音信不通の家族や遠い親戚等でない限り「相続を知った日=死亡日」というケースが殆どであります

多くの場合は大切な家族を失った悲しさや、役所手続きや周囲への挨拶などもありますし、し心も体も落ち着かず、四十九日法要(死亡日から約1か月半)を終えた頃かにやっと日常生活へ戻り、自分のことを冷静に考え始められるのが普通であると思われます

➡相続放棄の期限は、その段階では既に1ヶ月ちょっとしか残っておりません

その期間内で、裁判所への手続書類を揃えなければならず、かなりハードな手続きとなってくるのです

 

財産全てを放棄する必要がある
相続放棄では、全財産を放棄する必要があります

相続放棄をすることで、相続する権利のない人になるため、負動産を相続しなくてよいメリットは確かにありますが、半面、銀行にある預金残高や、株券など、資産価値の高い財産についても全て放棄する必要が出てきます

欲しい財産は相続して、欲しくない財産は放棄するといった都合のいい選択ができない⚡

※慎重に判断する必要があるのです。

④親戚に迷惑をかける可能性がある
相続放棄は、自分一人でも相続放棄をすることが可能です

➡自分が相続放棄をしたことによって、「新たな相続人」が生まれるといったケースもあり得ます

ケースとしては、母親が他界し、母親の財産を相続放棄しようとしたとき、相続放棄する人に兄弟がおらず、既に祖父母や父親も他界していた場合、一見すると「相続人が誰もいなくなった」と思えるのですが、民法のルールによれば、この場合には故人の兄弟、すなわち相続放棄した人からみて「叔父・叔母」が新たな相続人となってくるのです

➡親戚に負動産を押し付けてしまうことも起こり得えます

相続は、早めに動き始めることが重要

財産を持っている以上、相続登記についても、相続放棄の注意点についても、どうにも避けられない通過点であるのです

基本的には自分の一存だけでは決められないことでもあるのです

 

家族や親戚など、関係者が元気なうちに、一日でも早く話し合いの機会を持つことが重要であります

(これがなかなか難しいのですけれども)

関係者の誰かが認知症になってから、相続が発生して、その子供達などが相続人になると、話し合わなければならない関係者が増えてしまうリスクが高まってきます

難しい話ですし、楽しく話せるわけでもないでしょうけれども、不動産そのものだけでなく、この話し合いを放置していることにより、今回ご紹介したようなリスクがどんどん高まってしまいます

 

➡最近のご相談では、「親族関係は解消しても構わない」というご意見も出たりもしますので・・・

 

そういった事態になってしまうことを関係者にも共有しつつ、余計な費用や心理的・感情的な負担が増えてしまう前に、ぜひ建設的な方針を見つけ、着地するために、私共不動産業界に従事する者も、ご協力させて頂きます

 

🖊追伸🖊

親族間のお話し合いは感情論に左右されがちです

私共は、権利者ではないため、ご親族間で感情論の問題に入ってしまいますと、いくら弁護士さんが入ったところでお話は膠着状態となってしまいます

ご自身の代で決着をつけておかなければ、お子さんたちの世代にも遺恨を残すという事にもなりかねません

(実際にそのような御相談も散見されます・・・恐らくは、一番多いのではないでしょうか?)

 

令和現在のご相談は、ご高齢者の方々からのご売却に関わる案件が少なくありませんが、ご高齢の場合には、法的判断能力に問題ありと言われかねません(いざ何か問題が生じた場合にです・弁護士事務所に先生からは、ご相談者が70歳以上のケースでは、基本的に「成年後見」という事も言われたことがあります)

 

家族信託等に関しましても、司法書士先生をご紹介できますので、まずはご相談からどうぞ