「網代(あじろ)」とは、静岡県熱海市にある温泉地として有名な場所。
A面『網代ブルース』は、そんな温泉地を舞台にした正統派ムード歌謡。
温泉地を舞台にしたムード歌謡と言えば、『熱海の夜』なんかが思い出せれます。
この曲も正に『熱海の夜』路線の歌謡曲。
『熱海の夜』は、女性側の目線から描かれた詞でしたが、この作品では、網代を舞台に別れた女性の面影を思い浮かべる男性の心情を、切々と歌った作品となります。
アレンジにサックスが使われており、美川氏のボーカルと相まってムードは満点かと。
「ネオン+温泉街」という情景が容易に想像できます。
さて、A面はそんなネオン瞬く「網代」を前面に押し出した作品でしたが、B面『愛のぬくもり』は、特に網代とは全く関係のない「女性の失恋ソング」。
一般シングル曲として発売してもなんら遜色はないかと。
A面のムーディさは消え失せ、『愛のぬくもり』は失恋ソングにも拘わらず、軽快なアレンジが光る逸品。
そのため、作品自体がカラッとした感じになり、「しくしくめそめそ」といった失恋女性像からはかけ離れた歌になっています。
このレコード、網代のPR盤にも拘わらず網代の写真がジャケ写で使われておらず、美川氏のお姿のみ。
昔の地方PR盤ジャケットは、その土地ならでは写真がドーンと前面に掲載され、歌手の写真は無い、もしくは丸の中に小さく写っている、という印象なんですが、これはその真逆を行ってますね。
【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号:PRS-580
発売日:1987年?月?日
A面 『網代ブルース』
B面 『愛のぬくもり』
両面とも 作詞:塩沢和美 作曲:川村弘信 編曲:南条健
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