『夜のブルース』・・・。
黒沢明とロス・プリモスのシングルディスコグラフィーには、二曲『夜のブルース』という同名タイトルの作品が存在。
一つは、ビクター時代、もう一つはクラウン時代にリリースされ、タイトルは同じですが中身は全く異なる作品です。
余談ですが、2010年に発売された「ロス・プリモス100曲集」という5枚組のCDBOXでは、ビクター時代の『夜のブルース』のみが収録され、クラウン時代の『夜のブルース』は収録されていませんでした。(編集スタッフが同一曲と思ったか?)
さて、その二つの『夜のブルース』をビクター時代のものから見ていきたいと思います。
ビクターの『夜のブルース』は、1970年2月5日に発売。
作詞はロス・プリモスの『東京ロマン』を書いた久仁京介氏。
作曲は、当時のロス・プリモスのメンバーであり、日吉ミミ氏の『男と女のお話』も手掛けた水島正和氏。(上のジャケットでは上段左端の人物です)
シャッフルのリズムをベースとした軽快なタッチのムード歌謡で、「横浜」、「神戸」、「長崎」といった異国情緒が漂う港町を舞台にした作品。
〽ドゥビドゥビドゥビ シャバダバァ〽
このようなスキャットが1番から3番まで挿入されており、青江三奈氏の『伊勢佐木町ブルース』を彷彿とさせてくれます。
森聖二氏のボーカルは甘く優しい感じで歌われており、港の夜霧に包まれているような錯覚を覚えてしまいそうになります。
さて、ビクターから古巣のクラウンに戻ったロス・プリモス。
そのクラウン時代の1981年2月に発売されたのが「もう一つ」の『夜のブルース』。
作詞は「はぞのなな」氏、作曲は初期ロス・プリモスのメンバーで後に花菱エコーズというグループを結成した福田徳朗氏。
この『夜のブルース』は、『名古屋ブルース』というタイトル且つ別歌詞で、別の歌手やロス・プリモス自身も後年発表している作品です。
クラウンの『夜のブルース』は落ち着いた雰囲気のあるムード歌謡。
「東新町(名古屋)」、「河原町(京都)」、「北新地(大阪)」、「三の宮(神戸)」といった中部~京阪神を舞台にした曲となっています。
編曲は、当時サザンクロスの作品のアレンジを多く手掛けていた神山純一氏が担当。
そのため、どこかサザンクロスも歌いそうな作風にも聴こえてしまいます。
タイトルは同じながらも、それぞれ個性的な作品でありこれまた甲乙つけがたい良曲です。
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