夢を託した選手の話 | 徳本一善オフィシャルブログ「-ICHIZEN-」by Ameba

夢を託した選手の話

忘れるとこでした…。まぁ書くといって書かないことの方が多いですが・・・(すいません)

文才のないブログですが、見ていただければと思います。

夢を託した男の話

夢を託すことができた選手がいたということは、後にも先にもこの選手しかいないだろう。

きっと指導者となった今も、教える選手には夢を託すという感じではない。むしろ夢を一緒に追うと言った方が正しい。

私は彼に会うまでそういう気持ちになったことは一度もなかった。

しかし託されたことは一度だけある。

もちろん彼も私の知らないところでたくさんの人が期待をしてもらっていることも忘れてはいない。

でもそれとは少し違う、選手と選手の約束みたいなものだ。

ブログでも書いたことがある。拓殖大学で箱根を沸かせた選手の一人、高須選手だ。

その記事を読みたい人はまだ残しているのでご覧ください。

http://blogs.yahoo.co.jp/ithizen1/2098574.html

私は高須選手から最期の言葉を聞いた。

彼の夢を私が背負ったかたちになったと思う。

物事は考え方一つでプラスにもマイナスにもなる。

高須選手に言われた言葉は、今でも私の中でプラスに働いている。

その当時は、高須選手の気持ちは分からなかったが、今なら分かる

夢を託すことの理由が。

正直、ものすごく悔しい。ものすごく無念。できることなら自分のこの足であの舞台に立ちたい。そんな思いの先に・・・。

「お前なら・・・・・」


いろんな思いをぶつける場所がきっと人と人のつながりなのだろう。

夢を託すというのは、実に勝手だと思う。

むしろ押しつけられた方はいい迷惑かもしれない。

それだけの重荷がのしかかる。

私は彼にそれを伝えているし、彼もそれを知っている。

彼がそれを聞いてどう思っているかは分からないし、聞こうとも思わない。

ただ私が抱き続けていた夢を彼を通してみてみたいと思っているからにすぎない。

ただそれが彼の才能だけでそう言っているのではない。

彼の考え方、生き方、姿勢、一緒に行動するたびに彼に惹きつけられた。

私の方がずいぶん年上だが、尊敬もできるそんな選手だ。

彼といる空間は、不思議な感情にさせてもらえる。


彼の結婚式で私の夢を託すことを彼に伝えた。ロンドンオリンピックにいけるかわからない中で、きっとプレッシャーになったことだろう。

あの時言った私の言葉は「きっと彼は背負うと決めてくれていたと思う」

そして彼は掴んだ。オリンピックという最高の舞台を。

走り始めたらだれもが憧れる舞台。

ただそれだけのために。

ただがむしゃらに。

選りすぐられた人たちだけが立てる特別な場所。

彼は知っている。今何をしなければいけないのかを。

私ができなかったことを彼はやってのけた。オリンピックという最高の舞台に立つことを。

実に当たり前のように、そのレールは決まっていたかのように。

そこできっと彼は、彼自身の最高のパフォーマンスを見せてくれるに違いない。

日本人という枠を超える走りを・・・。

私は彼に託した夢の続きを見届けたいと思う。


そして私は彼に託してなお思う。

私はあの場所に立てる望みがないことに薄々気づいている。

それでも世界を目指さなければならない。

私はあの場所に立てる力がないことを感じている。

それでも日の丸をつけて走る可能性を捨て去ることはしない。

自分が燃え尽きるその瞬間までは奇跡という言葉を絶対に捨てない。

そう思わせてくれる選手です。