その他の疾患による障害(認定基準はコチラを参照。)の社会保険審査会の裁決から「難病」に関係する再審査請求事件について書いてますが、今日も社会保険審査会の裁決から具体的な認定の内容を見ていこうと思います。ウインクOK

 今回も、認定が難しいとされる傷病の再審査請求事件を書きます。(裁決の内容はコチラを参照してください。)

 今回の傷病は「化学物質過敏症」です。

  経過

 今回の再審査請求事件は、化学物質過敏症により障害の状態にあるとして、いわゆる事後重症による請求(障害年金請求日から支給を求めるということ。)をしたが、化学物質過敏症の初診日が厚生年金保険の被保険者期間にあることを確認できないとして、障害年金の裁定請求が却下されたことに対する再審査請求で、社会保険審査会は、請求人が主張する初診日は、申し立てのみで裏付ける客観的資料(カルテなど)がなく、提出された受診状況等証明書の傷病名が「適応障害」や「抑うつ状態」と化学物質過敏症と相当因果関係を有するとは認められないとして、化学物質過敏症と診断された日を初診日と認定し、その初診日は厚生年金被保険者の期間ではなく国民年金の被保険者期間に当たるとし、保険料納付要件を満たしているとして、障害の状態を判断しています。えーダウン

  障害の状態は?

 症状としては、耳鳴り、不眠、頭痛、関節痛、眼痛、咽頭痛、全身倦怠感、思考力低下、めまい、立ちくらみ、上肢のだるさ、脱力感、くしゃみ、鼻水、咳嗽、便秘、口苦、食物アレルギーの自覚症状、自律神経機能障害の他覚所見があり、家の内外から発生、流入してくるにおいを有する揮発性化学物質により自覚症状が誘発され増悪し、洗濯洗剤、柔軟剤、石けん、シャンプー、化粧品、香水、たばこ、線香、排気ガス、都市ガス、殺虫剤、防虫剤などに敏感に反応するため、外出できず、家事もままならず、臥床していることが多く労働することは全く不能で、一般状態区分表は「エ」PSの評価は「PS8」(身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。)に該当し、上記の自覚症状のほかにも動悸、過呼吸、嘔気、腹痛、下痢と便秘をくり返し、発汗異常など全身の多彩な症状が、健常人では感じない程度の極微量の揮発性有機化合物に暴露すると誘発され反応が強いと数日寝込むことになるとされることから、日常生活に著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度に相当すると認めたもので、国民年金の障害等級2級の障害基礎年金が支給されるべきと判断されました。照れグッ

 

私の視点としては

 極微量の有機化合物に暴露するだけで、敏感に反応し、多彩な症状が出て、外出できず、家事もままならず臥床していることが多いという状態と、一般状態区分表の「エ」とPSの評価が「8」で一致していることから、2級相当に当たると判断されたのかなと思いました。ニヤリ音譜

 認定が困難な障害の場合、一般状態区分表の評価だけでなく、PSのような他の評価との整合性と、症状や治療方法との整合性などが合致していることが重要で、その結果として、外出ができず、臥床していることが多いという日常生活における障害の状態が認定基準に言う2級の障害の状態の基本に相当していると認められるのかなと思いますので、診断書の記載内容には、他の診断基準や治療基準にあたるものがあれば、その内容を主治医から付記してもらうことも必要かもしれませんね。指差しOK

 

 次回からは、社会保険審査会の裁決で、他の認定基準にある再審査請求事件を題材にいくつか書こうと思います。バイバイ