国民年金基金連合会は、今年7月末時点の加入者数等状況を公表しました。iDeCo加入者数は、302万6137人となり、300万人を突破したそうです。また、登録事業所も75万事業所を超えているとのことです。びっくりNEW

 平成14年1月に個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度が施行されて以来、加入者は順調に増加し、平成29年1月の加入者範囲の拡大を契機に急増し(老後2000万円不足問題も影響したと思います。)、平成30年8月末には100万人を、令和3年5月末には200万人を超え、令和4年5月にさらなる加入者範囲の拡大が行われ、令和4年10月の企業型DC(確定拠出年金)加入者のiDeCo加入の要件緩和を受け、5年7月末時点で300万人を突破したというのです。(公表内容はコチラを参照)

 また、令和6年12月からは、DB(確定給付年金)等の他制度に加入している人(公務員を含む)のiDeCoの拠出限度額の引き上げも予定されています。

 全体平均の平均掛金額(月額)は1万6133円で、令和4年5月から国民年金任意加入被保険者が加入可能となり、その平均掛金額は4万8610円で突出して高いとのことです。

  (参考)社会保障審議会の第26回企業年金・個人年金部会が9月8日に開催されました。

 テーマは、「働き方・ライフコースに対応し公平で中立的な私的年金制度の構築について」だったそうです。

 この日は、主に「❶拠出限度額、❷iDeCo加入可能年齢・受給開始可能年齢の引き上げ、❸受給方法等について現状を整理した資料により意見交換を行ったそうです。

❶拠出限度額

現行の拠出限度額は、

⑴ 国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)で企業型確定給付・拠出年金の加入者の場合は、

1⃣ 企業型DC(確定拠出年金)のみの加入者は、月額55,000円(うちiDeCoは20,000円(事業主掛金との合計が55,000円))

2⃣ 企業型DCと、DB(確定給付企業年金)等の他の制度の加入者は、一律で月額27,500円(うちiDeCoは12,000円(事業主掛金との合計が27,500円)

3⃣ 他制度又は共済組合のみの加入者は、月額12,000円

⑵ 国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)で企業型確定給付・拠出年金に加入していない場合のiDeCoの限度額は、月額23,000円(+5,000円)

⑶ 国民年金第1号被保険者は、月額68,000円(国民年金基金の掛け金を含めて)

⑷ 国民年金第3号被保険者は、月額23,000円

となっているようです。

 この企業型DCの拠出限度額の考え方は、厚生年金基金の望ましい上乗せ水準(簡単にいうと公的年金と合わせて退職前給与の6割相当)を勘案して設定しているそうです。一方、国民年金第2号被保険者のiDeCoの拠出限度額は、企業型DCの事業主掛金との合計額の実態の大半をカバーする水準を勘案し、企業年金がない人は、企業年金を実施している掛金(事業主掛金+本人掛金)の実態の大半をカバーする水準を勘案して設定されているようです。

 そうして、令和6年12月1日からは企業型DCの拠出限度額は、「月額55,000円-企業型DCの事業主掛金に相当する額」(<20,000円)として、企業年金加入者のiDeCoの拠出限度額が一律20,000円とされるようです。

 このような中、現状では、iDeCoの加入者状況をみると、国民年金第1号被保険者では、拠出額の分布に年齢階層間で顕著な差は見られないが、第2号被保険者と第3号被保険者では年齢階層が高いほど拠出限度額まで拠出している者の割合が高いそうです。これまでの部会意見や関係団体とのヒアリングで、働き方や企業の税制上の非課税枠が異なること、個人別に老後の備えのための非課税拠出の共通枠を設定することで、老後の所得確保に向けた支援を公平にする「穴埋め型」と「共通の非課税拠出枠」や拠出限度額の未利用分を繰り越して拠出可能とする「生涯拠出枠」や、退職準備世代に追加拠出を可能とする「キャッチアップ拠出」が提案されているようです。びっくり

❷iDeCo加入可能年齢と受給開始年齢の引き上げ

 加入可能年齢(令和4年5月1日以降)は、企業型DCは、70歳未満の厚生年金保険被保険者が加入可能で、iDeCoは65歳未満の第2号被保険者を含む国民年金被保険者が加入可能です。⇒ iDeCoの加入が第1号~第3号被保険者で加入可能年齢に違いがあるため、「iDeCoの加入可能年齢を70歳に引き上げる。このため、次期公的年金の財政検証に併せて、所要の法制上の措置を講じる。」として、次期年金制度改正に向け検討を行っていくとしているようです。

❸受給方法(受給実態)の状況

 DB(確定給付年金)では、終身、有期年金又は一時金で、労使が一時金の可否や年金の場合の期間を選択でき、一時金化が認められている場合、支給開始要件に到達した際に年金か一時金かを選択する。一方、DC(確定拠出年金)も終身、有期年金又は一時金で、受給開始請求時に受給方法を選択し、一時金化を可能とするかはDBと同様に労使判断になります。

 新規受給者数から受給実態をみると、DBでは「一時金が68%」と最も高く、「年金と一時金の併給が8%」で、企業型DCでは、「一時金が93%」と最も高く、「年金は6%」で「年金と一時金の併給は2%」であり、iDeCoでも「一時金が88%」、「年金が10%」、「年金と一時金の併給が2%」と、企業型とiDeCo共に『一時金が9割』相当の状況にあるそうです。

  委員の意見では

❶拠出限度額では、「厚生年金基金は現在5基金しかなく、今後も厚生年金基金の水準を用いるという考え方を変える必要がないか」や「企業年金の運営に大きな影響を及ぼす問題なので、拠出、運用、給付の税制のあり方を踏まえた議論が必要だ」など丁寧な議論を求める意見が多くだされたそうです。

❷iDeCoの加入可能年齢の引き上げについては、委員からの「加入可能年齢を一律で揃えることにより、公的年金制度への影響はあるのか」という質問に、事務局は「現在、iDeCoの加入者は国民年金の加入者に限定しており、iDeCoは公的年金の上乗せとの前提に、公的年金を受給し始めた方はすでに老後のために年金資産を積み増す段階にはないという考え方で公的年金の加入範囲に併せて設定してきたが、これまでの考え方を転換する形が必要である」として今後の議論の中で示していくとしています。

❸受給方法では、委員から「一時金の受給率の高さを問題と考える方が多いが、一時金として受け取り、個人で計画的に取り崩すのであればそのまで問題ではないのでは?受け取り後の利用状況を含め、何が問題かを整理して検討する必要がある。」など幅広い意見が出されたもようです。

 

【以下は、あくまで私の個人的考えです。違う考え方をお持ちの方でご不快に思われましたら、お詫びいたします。】

 私は、iDeCoが始まった時に加入可能年齢の限度にあまりに近かったため、加入は諦めましたので、iDeCoよりも今年1月から始まる新NISAに興味がありますが、公的年金を補完する私的年金という位置付け(準公的年金)を続けるのであれば、拠出時に非課税が認められていて受給時にも所得控除が受けられるのであれば、拠出限度額は厚生年基金が保障していた給付水準を参考に引き続き設定していくのがいいのではないでしょうか?(拠出限度額は、分かりやすく国民年金第1号被保険者の拠出限度額68,000円から「老齢基礎年金分に当たる企業型事業主拠出金+企業型加入者拠出金」を差し引いた拠出金額を限度額にするなどして、全ての加入者の限度額を統一することはできないのでしょうか?)その限度額以上については、一般の投資信託(新NISAなど)で資産所得を確保していく出番ではないかと考えますが?滝汗あせるまた、最近は、投資を大々的に宣伝しているように思えますが、賃金が上がっても物価上昇もあり、老後不安から消費に回らずに投資に回れば、消費が上向かずに、賃金が上がっても景気が上向いてこないことにはならないのではないか心配です。私の杞憂であればいいのですが。