十数年前の出来事です
一人のママ友が
娘が遠足に行きたくないと
言っていると悩んでいました
話を聞くと
どうも娘ちゃんは
その遠足の目玉である
「崖のぼり」に抵抗のある様子
「崖のぼり」と
それに連なる先輩たちの
武勇伝のイメージだけが
大きくふくらみ
不安になってしまったのでしょう
ママ友の話を聞きながら
私は何気なく
「一回行ってみたらいいかもね」と
軽い気持ちで言いました
「初めての所で、どんな場所かもわからないから
○○ちゃんからしたらきっと不安なんでしょ」
「どんな所か行ってみてその崖も見てきたら不安もなくなるんちゃうかな」
今思えば無責任もいいところです
ホントに思ったことがそのまま口をついて
出てしまったような感じでした
遠足が近くなったある日
私は彼女に
「○○ちゃんどう？まだ行きたくないって言ってる？」
とたずねてみました
すると彼女は
「行ってきてん（行ってきた）」と
答えるではありませんか
「えっ！行ってきたの？」
「うん。先週の休みに旦那も一緒にみんなで行ってきた」
「崖のぼりはせえへんかったけど、ここ登るんやねって見てきた」
私が言ったからかどうかは
定かではありませんが
彼女とご主人は
下見することで
娘ちゃんの不安を安心に変えたのです
娘ちゃんの不安が
完全に払拭されたわけではありませんが
それでも遠足でこの場所に来ること
この崖を登ること
という予習はできたようで
遠足に行きたくないとは
言わなくなったということでした
そして当日
ほかの子と同じように
楽しんで帰ってきたのです
私はママ友と
それにつきあったご主人の
娘ちゃんに対する深い愛情を感じ
感動したことを今でも時々思い出します
子育てに正解・不正解ありません
完璧な親など存在しません
親も悩みもがきながら子育てしています
しかしながら
その姿こそが気高く尊く
それだけで徳を積んでいることに
ほかならないと私は思うのです