3月11日
地震が起こったときには、自家用車のお客様を含めて40人ぐらいのお客様が来館していた。緊急避難場所として博物館のエントランス前庭に、お客様に集まって頂き、飲み物とブランケットなどをお渡しし動揺しているお客様を落ち着かせることに努力した。また、突然の大きな地震により携帯などが使えなくなったため、ご家族等安否報告や確認で電話を使いたい方に、博物館にある緊急用電話をおかしした。そのことで、多くのお客様の不安が払拭された方がいた。
その後、東京事務局からの災害や道路交通情報を頼りに、自家用車で来られた方が少しずつ帰られた。
しかしながら、電車とバスで乗り継いで徳川博物館に来られたお客様がいた。東京、千葉方面から来られていた、女性5人の方だけが電車、バス、タクシーなどの交通網が麻痺したため帰る事が出来ないでいた。
そのため、博物館にあるイベントルームにおいて、5人のお客様と一緒にお泊りをし、電気・ガス・水道全てが使えない状態であったが、緊急避難用のお水を差し上げ、また日頃お茶会等で使用しているガスコンロセットを使い、夜、朝、昼とガーデンテラスにある食料を温めて食事をとって頂いた。
また、3月12日にはお客様の疲労もピークに達し、どうしても帰りたいという要望をうけ、いつもお世話になっている第一交通タクシー様に無理に御願いをし、道路がどのようになっているか分からない状況であったが、お客さまが困っている旨をお話したところ、快く引き受けて送って頂いた。その後、タクシーの運転手に聞いたところ、取手駅まで9時間以上の道のりであったと報告を聞いた。
また、博物館を緊急避難場所として登録したところ、震災後ガス・電気・水道が使えず困っている人達が水をもとめて、博物館に来館してきた。博物館には、敷地内にある光圀公がお茶を煎じたという湧水があり、断水で困った住民の皆様に水を汲んで使って頂けるよう積極的に対応した。
このような震災があり、1ヶ月を過ぎた頃、博物館に一緒に寝泊りをしたお客様から心温まるお手紙を頂戴した。
また震災当日旅行で水戸に来ていた学生が道やトイレに困り、博物館に助けを求めてきた。夜はかなり冷え込んだ日だったのでホッカイロ上げたり、道を教えたりしたその学生が、お礼の手紙と、博物館が開館してからお客様として来館した。
このことが、これまで一生懸命お客様に親切・丁寧に対応してきた最大のお礼だと感じ、今後もより一層精進して参りたいと思います。
By コッシー