きょうだい児は「傷つけられることに敏感」障害のある兄弟姉妹を守るため、自分自身の心を守るため、誰も悪く言われないようにするため、周囲の変化に敏感になる。「他の人と同じようにしなきゃ」と思うからこそ、傷つく言葉や態度を表す人に対して防衛反応をとってしまう。おはです #おは戦60511🍩ef
— とく@きょうだい児の葛藤から人生を学ぶ (@toku_siblings) May 10, 2024

きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

前回の記事は、こちらです。

『きょうだい児は「家庭環境を理解してもらえない」』きょうだい児は「家庭環境を理解してもらえない」障がいのある兄弟姉妹がいる生活が当たり前のため、普通の家庭でよくある話題に入ることができない。同年代の人に家庭…

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きょうだい児は、傷つけられることに敏感です。

その理由としては、以下のことが挙げられます。

・障がいのある兄弟姉妹のことで、自分自身が傷つけられたことがある

・心許ない言葉や悪口を言われることが多い

・家族や周りの人からのプレッシャーが大きい

・兄弟姉妹を守らなければという責任感が強く出てしまう

・家族の状況を理解してもらえない

・他人と比較されることが多く、劣等感を持ってしまう

・感情を受け入れてもらうことができない

障がいのある兄弟姉妹がいる環境に生まれてきたこと、弟や妹に障がいがあることがわかったことによって、これまで当たり前と思っていたことが、当たり前にできなくなってしまうことがあります。

これまでは、許されていた小さなこと・・・

ご飯を食べるときに、時間がかかってしまう

買い物に行った時に、好きなものを買ってもらう

夜寝る時は、一緒に寝てくれる

家庭の中でも、これまでできていたことが、自分のペースでできなくなってしまいます。

親が障がいのある兄弟姉妹に手がかかるようになって、自分自身を見てくれなくなったからです。

早く片付けたいからご飯食べてちょうだい

お金がかかるから、無駄なものはカゴに入れないでちょうだい

もう一人で眠れるんだから、あっちに行って一人で寝てちょうだい

家の中ですら、このような出来事に直面してしまいます。

頭では、”仕方がないこと”　”しょうがないこと”　と理解できています。

しかし、面と向かってそのことを言われると、悲しくなってしまいます。

ショックを受けてしまいます。

いつもと同じようにやりたいと思っているけれど、それを許してくれない環境に置かれてしまいます。

家族と一緒の時には、自由にできないことがわかると、外の人と一緒にいる時に、自由に行動がしたいと思うようになります。

「これはどうですか？」

「こんなことしてみたいと思うんですけど。」

「新しく、やってみたら良くなると考えますがどうですか。」

このような提案を自らするようになります。

それでも、斬新的な意見に捉えられがちであるため、なかなか理解してもらうことが難しい時があります。

『現実的に無理でしょ』

『今の体制だとできない』

『もっと良くなってからだとやってもいい』

このような言葉をかけられて、結局は実現できない状況になります。

何度も何度も、提案したことを受け入れてもらえなくなると、最初は小さなかすり傷程度だったものが、知らず知らずのうちに大きな傷となって現れてきます。

大きな傷になってもなお、新たな提案をすることがあります。

その時に、また否定されたり、受け入れてもらえなかったりすると、傷口が大きく開いてしまいます。

これまではなんとか耐えることができていましたが、何度も傷がつけられたことにより、修復が難しくなります。

傷口はどんどん広がっていき、自分の心を蝕んでいきます。

”もう無理だ”

この限界を迎えるまで、傷口が大きくなっていることはわかっていても、見て見ぬ振りをしてしまいます。

気がついた時には、治すのに時間がかかったり、元の状態に戻るのが難しくなったりしています。

そんな時、このように思ってしまうのです。

「傷つけられるのは、わかっていた」

「この決断をしたのは、わたし。全部わたしが悪い」

「誰も悪くないんだから、責めなくてもいい」

このような気持ちになります。

それを誰とも共有せずに、一人で抱えてしまうこともあるのです。

他に傷つく人が出ないように。

心配されないように気をつけて。

ひっそりと自分だけで解決しよう。

そのように思います。

それが長くなればなるほど。傷つく期間も長くなっていきます。

このような経験を、人一倍しているため、きょうだい児は些細な人の感情の変化も読み取ることができるようになっていきます。

感情の起伏が激しい人は、誰でもわかりますが、ほとんど感情を表に出さないような人の変化も読み取れるのです。

・少し表情が硬くなった気がする

・いつもだと嬉しそうな雰囲気なのに、なんだか暗い

・言葉では前向きなことを言っているけど、本心ではなさそう

・笑顔の下に隠れている悲しい気持ちが見て取れる

・本当はやりたくないことも、頑張ってやろうとしてくれている

ストレートに言葉に表さなくても、このような変化を感じ取る力に長けています。

感情の変化を人に知られるのが嫌な人がいるということを知っているので、大勢の人の前では直接このことに触れることはありません。

でも、少し席を離れる時間があったり、あえて直接言葉を投げかけてみたりすることで、驚かれてしまうのです。

『誰にも言ってないのに、どうしてわかったの？』

『気づかれていないと思っていた』

『本当は、大変だからやりたくなかった』

こんな気持ちをサラリと聞き出すことができます。

それによって、感情を表に出す手助けをすることができ、相手から感謝されることも多いです。

稀に、『そんなことがわかるなんてエスパーだ』『人に言わないのに、わかるってすごい』

と否定的な態度を取られる方もいます。

このような態度を取られた時には、傷ついてしまいますが、”この人は、こういう考え方しか今はできないんだ”と考えるようにしています。

できるだけ、自分自身の心身の消耗が少ないように、最小限のエネルギーで対応できるように、自然と工夫できるようになります。

わかっている人は。みているので、それによってきょうだい児自身が疲れてしまっていることを見抜くことができる人もいます。

そのような人が現れた時には、遠慮せずに、頼ってみるのをお勧めします。

やはり、自分一人だけではどうにもならないことがあるからです。

誰かの力を借りて、自分のことも守りながら、傷つくことが少なくなるように、でも周りの変化にいち早く気がついて、対処できるように、きょうだい児ができることは無限大にあるんだなと考えています。

できることから始めてみよう。

傷つけられた経験が多いほど、人に優しくすることができる。

きょうだい児が豊かな人生を歩むための合言葉として、覚えておくと、これからの生活が楽になると考えています。

次回に続きます。

きょうだい児は「自己評価が低い」