きょうだい児は「家庭環境を理解してもらえない」障がいのある兄弟姉妹がいる生活が当たり前のため、普通の家庭でよくある話題に入ることができない。同年代の人に家庭の事情を話しても理解してもらえないし、話についていけないことから、孤立感や孤独感を抱えてしまう。おはです #60517おは戦🍻v2
— とく@きょうだい児の葛藤から人生を学ぶ (@toku_siblings) May 16, 2024

きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

前回の記事は、こちらです。

『きょうだい児は「母親に依存されやすい」』きょうだい児は「母親に依存されやすい」障がいのある兄弟姉妹の手伝いを一緒にしたり、愚痴を聞かされたりする。日常的に行われていることだからと流しているが、他の…

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きょうだい児は、家庭環境を理解してもらえないことが多いです。

その理由としては、以下のことが挙げられます。

・障がいのある家庭にいる人がそもそも少ない

・障がい者に対する偏見を持っている人が多い

・障がい＝悪という考えを押し付けられる

・プライバシーを重視するため、障がいがあることを隠すことが多い

・病気や障がいについての認知度が低い

・価値観の違いから、話が通じないことがある

・傷つくことが怖くて、周りの人に話せない

身近な人に、病気や障害を持っている人がいれば、比較的スムーズに理解してもらえることがありますが、ほとんどの場合、元気な家族が多いため、そのような人と触れ合うこともありません。

また”障がい者＝社会的弱者＝触れてはいけない話”という考えがあるため、障がいの話をした途端に、話題をすり替えられたり、腫れ物に触るような対応をされたりします。

障がい者がいる生活が当たり前のきょうだい児にとって、このような対応をされることは、ストレスであり、とても悲しいです。

体が動かない肢体不自由の障がいがある場合

一人で歩くことができないため、杖・歩行器・車椅子を使うことが多いです。

施設の中だとストレッチャーで移動することがあります。

しかし、健常者ばかりの家庭で育っている人は、聞いたことはあるけど見たことがない、見たことも聞いたこともない、そんな人がいます。

一人で歩けないから、車椅子などの補助具を使っているだけで、行動の制限はあるものの他の人と変わらない生活を送ることができています。

それなのに、

・大人なのに一人で歩けないって変

・車椅子が幅を広く取るから邪魔

・誰かの助けがないと生きていけないのって辛い

・家族が大変そう

・障がい者のふりしているだけじゃないの？

などと、傷つくことを言われてしまいます。

確かに、何かがあるたびに、障がいのある兄弟姉妹の面倒を見ることはあります。

大変じゃないと言ったら、嘘になります。

でも、だからといって、他の人と違うかと問われたら、そうではありません。

障がいの程度によりますが、

・話しができる

・一緒に遊ぶこともできる

・お出かけもできる

・ご飯が食べられる

・学校に行って、勉強もできる

・好きなことをやりたいと主張できる

誰かの助けは必要だし、健常者と全く同じにやることはできないですが、障がいがあることによって、何もできないということはなく、やりたいことをやることができます。

このことを言葉で説明するのには、とても時間がかかります。

『動けないんだから、やれるわけない』

『話し方が変だから、理解できているはずがない』

『同じようにできないんだから、やっぱりやれない』

『障がい者のくせに、他の人よりもできるなんてあり得ない』

心許ない言葉を言われてしまいます。

実際に、きょうだい児は、障がいのある兄弟姉妹が人の助けを借りながらも自分の力でやっていることを見ているので、なんとかして、それを伝えようとします。

でも、伝えれば伝えるほど、悲しい気持ちになって、傷ついて、泣きたくなってしまいます。

誰にも理解してもらえないんだと絶望することがあります。

わかってもらえない状況が長く続くと、孤立したり孤独感を持ったりします。

家族同士は理解できるのに、どうして外に出ると理解してもらえないんだろうと苦しくなります。

理解してもらえないことがわかると、説明することをしなくなるため、より家庭環境をわかってもらえなくなります。

悲しいですが、これが現実なんだと思い知らされます。全員、敵に見えてしまうのです。

人知れず、悲しい思いをしたり、傷ついたりしているきょうだい児ですが、このような経験を通して、学ぶことや身につくことが多くあります。

＜障がいのある人やその家族への理解がある＞

障がいのある家族の気持ちがわかるようになります。

”きっと今、こんな思いをしているんだな”

”似たような状況になったことがある。そんな時にはこんな言葉をかけてもらえたら嬉しかったな”

その家族が置かれている状況から、瞬時に必要な支援をすることができます。

実際に支援をしなくても、温かく見守ることができます。

声の掛け方も優しいです。

・こちらにどうぞ

・ゆっくりで大丈夫ですよ

・自分のペースでできるようになります

・次はできます

・焦らないでやっていきましょう

心情に寄り添うことができるので、相手の人への伝わり方も変わってきます。

表面上ではない、深い部分で理解し合えているからです。

一人でも理解してくれている人がいると思うと、安心して生活することができます。

＜価値観の違いを理解している＞

世間一般的な当たり前と、自分たちの世界の当たり前が異なっていることを理解しています。

・難しい言葉がわかりにくいから、一人でやるのが大変なんだ

・目が見えないから、杖を使って歩いているんだ

・周りに危険なものがないか確認しながら動くようにしよう

・一人でできることはやらせてあげよう

・できない部分をどうしたらできるようになるのか考えてみよう

一般的には、

”できない、やれない”　とわかると　”やれないんだから、やってあげよう”　とか　”やらせるの可哀想だから別のことさせよう”などと考えることが多いです。

きょうだい児は、”時間がかかっても一人でやれること” や　”みんなと同じことをやりたいと思っていること”を知っています。

そのため、できないから取り上げることややらせないという選択肢を持っていません。

どうしても、難しいことや危険なことは回避しますが、それ以外のことは、どんなことでもできると信じているからです。

「あなたの常識は、わたしの非常識」

「当たり前は、当たり前じゃない」

このことをよく知っています。

そのため、意見の食い違いや、考え方の違いがあったとしても、それを受け入れてあげることができます。

価値観の違いを理解して、さらに自分の価値観を押し付けることがないように対応できます。

このように、きょうだい児は、様々な視点から物事を捉えて、考える視野の広さを持っています。

傷つくことを恐れてしまい、理解されないことにもどかしさを感じて、孤立してしまうこともありますが、その経験が自分の人生を豊かにしていく１つになっているのです。

今は、障がい者やその家族への偏見は少なくなってきているように感じています。

それでもまだ、理解されないことで苦しんでいる人がたくさんいます。

その人たちを救うことができるのも、きょうだい児ができる大切な役割であると感じています。

次回に続きます。

きょうだい児は「傷つけられることに敏感」