※私は特別養子縁組でここで書いている「母」は「養母」を指しますが、特に特別養子縁組関係ない記事です。※
ここまでで、母の置かれた悲劇的状況について書いてきましたが、母に同情こそすれ、助けようとまでは思えていないのです。
母もつらい状態であったとはいえ、そのしわ寄せを私が受けたのも事実です。
裏の事情を知ってから、恨む気持ちはなくなりましたが、プラスの感情にはなりません。
そして、彼女を全力で助けようとすると、私の人生が私の人生でなくなるくらいの熱量が必要になります。
さらに言うと、母は自分の受けた仕打ちに長年耐えるために、自分の受けてきた仕打ちをいくつか正当化しています。
自分の受けた仕打ちを、それが当然だと思っています。
妻とはこういうもの、結婚とはこういうものだと信じている部分もあるのです。
つまり、母はもうすでに被害者であるだけではなく、加害者予備軍でもあるのです。
だからこそ、あの母を全力で助けることは、私が自分の家族をあきらめることにつながりかねません。
残酷かもしれませんが、私は自分の人生を守るために母とも一定の距離を取ることにしたのです。
この年齢になって、父にも意見できるようになったため、父に少しでも是正するように話したり、
母が自分で正当化してきた部分を「それは理不尽だと思っていいんだよ」と言ったり、その程度のことはしますが焼け石に水です。
母は、母方の祖父がまだ生きていたころ、正月にお年玉という名の金券をもらっていました。
それが母が唯一自分のために使えたお金でした。
それも祖父が亡くなってからはなくなってしまいました。
私が働き始めてから、正月には私から金券を亡くなった祖父に代わって母に贈るようにしました。
大好きだった祖父の遺志を継ぐという意味合いと、苦しむ母を助け出しはしない選択をしたことへの罪滅ぼしです。