昨日、日本財団を通じて子ども庁発足に向けて精力的に動いていらっしゃる参議院議員の山田太郎さんに子ども当事者の声を聴いていただきました。

 

特別養子縁組の子どもが出自をたどるのがどれだけ困難か。

中央機関を作ったうえでの情報一元管理の必要性について。

 

これらを私自身が出自をたどった経緯を交えてお話してきました。

 

いろいろな話を聞けて逆に私にとっても勉強の機会になりました。

 

話をしているうちにうまく考えがまとまったのでついでにここに書いておこうかと思います。

実親の情報をどこまで開示するかという議論についてです。

 

正直、私も昨日まで実親にも実親の人生があり、個人情報を開示できないのは仕方がないのだと納得しようとしている部分がありました。

しかし、よく考えると議論するポイントがずらすべきだと気が付きました。

 

実親の個人情報をどこまで開示するかを議論しても問題の根本的な解決にはなりません。

子どもが自分のルーツを知りたいという想いを一定のライン以上は我慢してほしいという悔過に収束する点で何の変化もないからです。

 

考えるべきは、どのようなケアをすれば実親、特別養子の双方に安全を担保できるかではないでしょうか。

 

極端な話、特別養子の子ども当事者が自分を手放した実親を怨む激情に駆られて実親を殺したとします。

世論は間違いなく、個人情報保護を厳しくすることになびくでしょう。

 

大事なのは、どこまで開示するかのラインを動かことではなく、すべての情報を開示しつつ、安全を担保するのに必要なケアを考えることです。

ルーツをたどりたい当事者の気持ちの整理や言語化に寄り添うカウンセリングの整備や、面会した後の実親さん向けのアフターケアなど。

考えればいくらでも必要な支援が見えてきます。

 

個人情報保護法をどうこうしようとするのは、これら支援の整備と同時進行であるべきです。

どちらかが先行しても成功はありません。

 

そのために私たちに何ができるか、これからも考え続けて実際に動いていければと思います。