「乳幼児遺棄事件」
私はその結果特別養子縁組に至りました。

私は地元の児童相談所に資料開示請求を行い、資料を取り寄せました。
その結果開示された中に複数社分の新聞記事の切り抜きがありました。

見出しは
「〇〇に男児置き去り」
そして、どの記事も最後に
「警察は、遺棄事件として捜査している」
と書かれていました。

その新聞記事が開示された情報の中でとても簡潔で知りたい事実を伝えてくれたものでした。

「私は遺棄されたのだ」

それから、人に自分が特別養子であることを話すときに、「遺棄」という言葉を使ってきました。

それを聞いた人が言う最も多い反応は
「遺棄じゃないじゃん、死んでないんだし」
というものです。
確かに、「遺体」の遺が入っているから、遺棄事件とは殺して、遺体を捨てることだと勘違いされることがあります。

「遺棄」は「遺す(のこす)」+「棄てる(すてる)」という意味なので、「死」という意味は含まれません。

「遺棄」という言葉はとても嫌いでした。私自身、ごみのように扱われている気がしてならなかったからです。

しかし、「遺す」の意味を詳しく調べて、「置いていく」という意味よりは
「名を遺す」「功績を遺す」といったポジティブな意味で使われることも多いことに気付きました。

「女性にとって、子供を産むということはその人の大きな自信になる」
講演を聞いてそのように声をかけてくださった方がいました。
「遺棄」とは、生みの母親が子を産んだというその誇らしい功績を、自信を、「遺し」それを自分の人生のために放棄せざるを得なかったという意味だととることができます。

そうすれば自分が生まれたことに少しだけ意味があったように感じられるのではないでしょうか。

これも個人の感じ方に依存しますけどね…