NDK京都主催のファッションショー「京都コレクション」

クリスマスイブにファションショー開催。

1959年設立の一般社団法人NDK日本デザイン文化協会京都(NDK京都)はかつて50年ほど続いたショーから、形も新たに京都コレクションとして名前を変え、みやこメッセにて初開催する。ショーは4つのシーンに分かれ、宮川徳三郎商店は「男の着物」シーンを担当するのだ。

過去・現在・未来へと変わりゆく、着物の着こなし。そして徳三郎が考えるこれからのスタイリングを12名のモデルと共にランウェイを彩る。

 

 

男着物のカッコよさとは

 

男性がカッコよく見える瞬間ってなんだろう?

着物を着たら何割増しとかよく聞くが、着方が悪ければ増すどころか減ってしまう。 正しく着ることがカッコ良く見せる第一歩であるなら、その正しいって言われるものの「正解」が僕には見当たらない。 正解の着方ってあるのか? 王道と言われる世間一般的な着こなしが正解ならば、あまりにも面白くない世界になってしまったと落胆する。 でも、ここで考えないといけないのは、そもそもファッションとしてある衣類は、ある程度の着方はあるものの、時代とともに変化すべきものである認識は持っておきたい。

 

 

隠す文化から見せる文化へ

 

今回のファッションショーのテーマは、「opposite(反対)」にした。

女性用の着物や襦袢を男性が着用し、着こなしで魅せるもの。 また、本来内側にある襦袢をアウターにし、テキスタイルのカッコよさも見てもらいたい。 女性ものが男性ものになり、内側が外側になるってことだ。 それはまるで、明と暗、または、表と裏といった、常に表裏一体なものかもしれない。

男性用の着物は地味なものが多く、黒・グレー・紺といったもの。友禅柄の男性用着物ってのは最近ではあるが昔はほとんどなかった。 「粋」と言われる着こなしを自分でできればいいが、できない人の方が多い。それよりももっとファッションとしての着物とは何かを考えたいのである。

 

 

そもそも、襦袢っている?

 

僕は着物の下に丸首のシャツを着てもいいと思っている。ただし、襦袢代わりにだ。襦袢の襟元から、シャツの丸い襟がちょろっと見えてしまうが故に、カッコ悪いと思えるのであって、そもそも襦袢を着ていなかったら襦袢代わりにTシャツを着ているのねって見え方になるのではないか。 屁理屈かもしれないけど、着物のVの襟元をひき立たせるためのTシャツの丸襟ならウェルカムだが、もはや襦袢の襟元のV字はマイナス効果でしかない。 また、襦袢を着ているが故に着物の襟元がたぶつくとだらしなく見えるが、襦袢なしでTシャツを着たらむしろTシャツの柄を見せたいがために、ちょっと着物の胸元にゆとりをもたせて着ることができるのではないか。 誤解をしないでほしいのだが、決して襦袢がいらないって言っているわけではなく、丸首シャツを着るくらいなら襦袢は着ない方がスマートに見えるってこと。 王道な形で着るのであれば、Vネックシャツを是非用意しておいてもらいたい。

 

 

むき出しの願望

 

今回のショーにおけるスタイリングも随分悩んだ。 深く深く掘り下げて考え、今自分にできること、そしてそこにあるメッセージとは何かって。 そこまで考える必要はないのかもしれないけど。本来は、カッコイイとか非常にシンプルな感覚でいいのかもしれないけど、僕は女性の着物より男性の着物スタイリングの方が遊ぶ余地が沢山あり、むしろ自由度が高すぎてどうまとまりをつけるかに苦労した。 本当は、理由をつけないと不安なのかもしれない。すべての理由付けを取っ払ってみると、おそらくただ単純に「カッコイイ」ってものだけが残るかもしれない。 それは間違いない。 そこは、カッコいいって言われたいという願望がむき出しなのだ。

 

 

引き継ぎながら変化していくこと

 

守るべきものと変化していくものが常に隣り合わせにある伝統工芸。 着物もその一つだ。 作り手が先代から受け継ぎ大切にしているものをベースに、新素材の登場や表現技法の発展に順応していかなくてはならないので、作り手という立場は大変だ。 作ったのはいいが人に伝えなかったら、なかったことと同じ扱いをされてしまう。つまり、作り手はモノの良さを表現する技術も必要とされてきている。 僕の立場はどちらかというと、作られたものをより良く見せる「表現者」に近いのかもしれない。 小売をする人間はそもそも、ストーリーテラーのようなものと常に思う。またそこには、モノを自ら作れないという劣等感の反作用くらいに他の人より表現方法にはこだわるところがある。 そこから生まれるパワーが、自分らしいスタイリングってとこに表現することができるんだろう。

 

 

着物スタイリストとして。

 

まだまだこの肩書きは、こそばゆいところがある。

しかし、着こなしの面白さはこの肩書きがあるが故に伝えられるのではないか。 まだまだ坂の途中。 ショーには何か答えがあるのか。 是非その答えに近づけているかどうか見に来て欲しい。

 

 

京都コレクション詳細

▲第4シーン男着物ショーを彩る12名のモデルたち。

 

・日時:2016年12月24日(土)

   1st show 13:00から

   2nd show 15:30から

・場所:みやこメッセ

・入場料:大人:2000円

     小人:1000円(小学生以上)

     未就学児:無料

 (チケットは現地にて購入可能です)

 

・京都コレクション公式サイト

 URL → http://kyoto-collection.com/

 

 

主催: 一般社団法人NDK日本デザイン文化協会京都(NDK京都)

共催: 京都府、京都市

後援: 京都商工会議所、京都織物卸商業組合、西陣織工業組合、京都百貨店協会、日本図案家協会、京都デザイン協会、京都府中小企業団体中央会、京都府商工会連合会、朝日新聞 京都総局、毎日新聞 京都支局、読売新聞社、産経新聞 京都総局、京都新聞、繊研新聞社、NHK京都放送局、KBS京都、染織新報社、京都プリント染色協同組合