釣りで思い出した事 | 鼻たれ小僧とタイツ足

鼻たれ小僧とタイツ足

懐かしき小学校時代

男の子がタイツを穿いてても当たり前だった

突然‼ あの頃の事を思い出してみたくなった

一気に記録更新しちまった。うお座

水曜日に黒鯛50㎝オーバーを釣った。(マニアライクな用語で申し訳ない)

基本的ジカリグなのだが、スティックシンカー5gのリング部分から、4㎝ほどナイロン8lbでフック。

エビ型とかカニ型のプラベイトを付けてやってたんだけど反応ないんで、残ってた青イソメを付けて

キャスト、糸ふけを取って放置。

煙草吸ってたら、ロッドがガツンと引っ張られた。

根魚の20㎝級か? やけにグングンと突っ込むヤツだし、黒鯛か?

2000番リールにPE0.4、リーダーフロロ8lb、ドラグギーギー。

たも網に入れて引き上げてびっくり ダッシュ

今年初の乗っこみ、僕が頂いたゼチョキ  ラインブレイクもせず、寄せられてよかった。

オープンウォーターでラッキーだった。

 

家の近に用水が集まったような川がある。

学校には橋を渡って行くのだが、そのあたりでも川幅は30mあるかないかだ。

その川は、下流に4~5㎞で海へ通じている。

上に書いた大黒鯛は、その川の河口にある漁港でつった。

 

釣りである。

小学校時代、近くの橋あたりで、友達とよく釣りをしていた。

Kちゃんちの雑貨屋ではなく、U金物屋があって、そこに竹を材料にした2本継の延べ竿があった。

¥100 程度で買える物で、ライン → 大人たちはテグスと呼んでいたが、何号だかどうだか

関係なく(今思えば1号4lbぐらいだったか)、親に借りた棒ウキを付けて、ご飯粒とか餌にして、

フナやオイカワなど何でもかんでも釣って遊んでいた。

3年の3学期だったと思うが、ある土曜日、だいたいいつもタイツを穿いて登校している仲間の I 君

から、「昼から前の川で釣りやんないかい」と誘われた。

誰と行くのか尋ねると、すぐ横にいたO君と、隣のクラスの八百屋のM君も誘うらしい。

M君もよくタイツを穿いている子なので、ぼくも親しいし、(と言っても2クラスしかないので誰とも親しい

のだが)M君は家で売っている酒粕を持ってきたりして、それがけっこう爆釣だったりするのだ。

その時、近くにいたO君が、耳元で言った。

「お前さあ、昼からも絶対タイツで来るよなあ?」

「まずまちがいないよ、もうそんなに寒くないし、M君だってたぶんそうだと思うよ」

僕はそう答えた。

その日は、体育があったのだったか、僕は黒か肌色かは忘れたが、長靴下だったはずだ。

I 君も同じはずで、朝登校時に会ったM君やY君は、体育がないので、タイツだったと思う。

帰りに一緒になったM君は、「なんだか楽しみじゃないか!鯉とかきたら切られちゃうけどな」

とニコニコ顔で、僕が、「昼からも半ズボンで来るんだろう?」

って訊いたら、「とうぜんでしょ」と答え、周りを見て、女子などいないのを見計らって、半ズボン

の内側の裾をチラッと持ち上げ、タイツのシーム線を見せた。

そうだ、M君は確かその日は黒だった。

これは3年になって、やたらと数が減った、タイツ仲間の暗黙のサインだった。

 

昼ごはんを食べ、自転車を出していると、M君がやってきた。

肌色タイツを穿いている。

「川行ったら汚れるんだし、古いの穿いて来た」

ちょっと傷みかけた肌色タイツ、僕も同じだ。

現場に行きつくと、I 君も、肌色タイツだった。

遅ればせにやって来たO君はなんと青タイツだった。

「みんなタイツでよかったよ、僕だってよそ行き用に持ってるんだぜ、一人っきりタイツだとからかう

ヤツがいるじゃん、だから僕は、学校にはタイツ穿いて行けないのさ」

ごもっともな意見だ。

その後”からかい”は、歳が進むほどに強くなっていくのだった。

 

途中、隣街の子たちが自転車で通りかかったりして、

「ここって何が釣れるの」

なんて話しかけられたりして、

見ると、僕らより1学年上かと思われる子たち3~4人の内、1人は、確か黒い足で自転車に

またがってたぞ。

地域性なのか、どうだか知らないけれど、

まだ僕ら子供じゃないか!タイツのたぐい穿いてて何が変なんだよ!女の穿くような物だって⁉

僕らは、男の子の常識的な靴下を穿いてるだけなんだよ!

 

橋の周囲には何か所か石積の階段状の物があり、川面に降りられるようになっていた。

その日の犠牲者は、I 君だった。

最下段に降りて、立小便をした後、振り返りざま足を滑らせ、右足がズルっと川べりの泥の中へ

突き刺さった。足を抜くと”ズポ”という嫌な音がして、白いズック靴から足首の上まで、臭っい沼泥

の黒に染まっていた。

学校に走りこんで水道を捻って洗ったのはいいが、タイツである。脱げないのである。

まあ夏じゃないし、たとえ長靴下だったとしても、片方だけ脱いで片方穿いても変ではあるが、

怪我がなかったのは、幸いだ。

 

細かい釣果など、覚えてるはずもなく、その日からO君も3学期の終わる、春休みの前まで、

時たまにタイツを穿いてくることがあった。