Sちゃんの感想 | 鼻たれ小僧とタイツ足

鼻たれ小僧とタイツ足

懐かしき小学校時代

男の子がタイツを穿いてても当たり前だった

突然‼ あの頃の事を思い出してみたくなった

小5の3学期、卒業生を送る会というのがあって、とある芝居で、

僕は王様の家来の一人に選ばれ、女子が家庭科で作った、提灯のような短パンを穿かされ、

中世の王族のイメージか、白タイツも穿かされた。

小4にタイツを穿けなくなって、肌寒くなるとどうもやりきれない気持ちに囚われていた僕にとって、

堂々とタイツを穿く機会ができたと、複雑ながら喜んだ。

王様と後4人の家来は白タイツ。

はっきりと覚えてはいないが、商人や重要な村人など、何人かかが白以外の色のタイツを穿いて

出てはいたが、誰がどの色でとかは、思い出せない。

衣装が決定した時の他のメンバーは、なんとなくそういう予感がしてたけど、やっぱりなあ、

カッコ悪いしとんでもねーよブーと悔やんでいた。

僕もまるっきり噓つきで、なんだよういまさら 叫び と共感したふりをした。

 

芝居(劇)は、別にトラブルもなく終わったのだが、このタイツ、これ1回しか穿かないなんて、

もったいなくはないか?

もっと機会さえあれば、堂々とタイツを穿いていたいと思っていた僕はそう考えた。

送る会の次の週、長ズボンのインナーで、その白タイツを穿いて登校した。

当然ソックスも穿いていたし、誰かにばれた訳でもないが、休み時間になる度、

椅子の上に片膝を立て、ソックスの上から、足の甲、爪先などをつまんで、中にタイツがあることを、

無意識に確認していた。

2日も続けて穿けば足臭くなるので、僕が着替えた後、母がいつの間にか洗っていた。

 

3月になってただろうか、インナーとして使っていただけに、ほとんど痛みもないタイツだったので、

長ズボンだけで登校し、家に帰ったら、半ズボンに変えて、その白タイツを穿いて過ごしていた。

外に出る用や、友達から遊びに誘われれば、長ズボンを穿いて隠していたが、出ずにすむ時は、

タイツ足にしていた。

突然やってきた従弟が、家に上がってきた時は、”なんだー”みたいな顔されたが、

「これには訳があって・・・」

ひたすらに説明してなんとか理解をえた。

その後は子供同士だもんで、遊びに熱中していれば、タイツの事などそっちのけだった。

まあこれこそが、本当の子供タイツのあるべき姿ではないだろうか。

 

隣のSちゃんの前では僕も平気でいられた。

半ズボンに白タイツを穿いていても、

「Sちゃんいる?」

なんて裏口から呼んだり、

「Poloちゃんホットケーキ焼いたから来ない?」

なんて呼ばれたりしたら、お構いなしに行き来していた。

「この前の劇に使ったタイツでしょ、白って子供っぽいけど、うちんちなら別にどうってことないでしょ」

小さな頃みたいに、爪先の引っ張りっこはしないとしても、5年生の僕がタイツを穿いていても、彼女は悪口の一つも言わないし、からかったりもしない。

「もっと色々面白い事教えてよ。

 まだ小学生なんだし、Poloちゃんがタイツ穿いてたら、なんとなくほっとするのよ」

微妙な感想だが、僕もなんだかすごく、いい気分になったのだった。

 

このお話、20代の頃里帰りしたSちゃんと喋っていたら出てきた、懐かしい昔話なのです。