隣のSちゃんの事 | 鼻たれ小僧とタイツ足

鼻たれ小僧とタイツ足

懐かしき小学校時代

男の子がタイツを穿いてても当たり前だった

突然‼ あの頃の事を思い出してみたくなった

隣の家に、Sちゃんという1級下の女の子がいた。

今はその子の娘も、もう30歳になろうか?

Sちゃんは、その娘に付いて県外に住んでいて、滅多な事が無い限り

会うこともない。

 

Sちゃんとは、僕が中学に上がるまで、完全な幼馴染みとしての付き合いがあった。

生まれて物心がついた頃から、彼女の存在はいつも当然のように僕の心の中で、

大きな存在感を占めていた。

お互い同級の友達と遊ぶ約束をしていない時や、親戚が訪ねて来た時以外は、

殆ど、どちらかの家でいっしょにいた。

ボーっとテレビを見るだけだったり、内容は思い出せないが、お菓子を食べながら

とりとめのない話をしていた。

裏庭からどちらかの母親が

「もう夕ご飯よ、そろそろ帰ってきなさいよ」

と声を掛けてくるころまでいっしょにいた。

 

彼女が小1に上がった時、僕は2年になった。

僕が学校から帰って、制服を脱いで私服に着替えて。

ただ面倒くさいだけだが、タイツはそのまま穿き変えない場合が多く、

そのままSちゃんに家に行く事が、殆ど毎日のようになっていた。

黒タイツの時も当然あったが、肌色タイツの時の彼女の反応に、何度か驚いたものだ。

 

新しいタイツは、繊維も傷んでなく、少しばかり表面に艶があったように思う。

糸一本一本に膨らみ(風合い)があったのか。

通学や遊びで、少しくたびれたタイツは2軍落ちだが、捨ててしまうわけではなく、

洗い替えのサイクル上、穿く時もあるのだが、

新タイツを穿いている時、彼女は、胡坐座りした僕のすねのあたりをしきりに撫でさすった。

「新しいのって艶があってツルツルなのね」

また、くたびれタイツの時は、

「はい!じっとしててください、お注射します」

え!どうすんの?

足を前に投げ出した僕のタイツ足の膝にできた、あの頃誰でも知っているはずの、

あの皺々の部分を摘まみ上げて、編み目の間を狙って爪楊枝を差し入れてくるではないか。

一瞬面くらった僕でしたが、阿吽の呼吸です。

「先生、痛いよう」

みたいなノリで、身をよじっていた。

 

本当に彼女とは、なんのいさかいもなく、よく何年も一緒にいられた。

注射遊びはお互い進級したころにはやらなくなったが、

全く色気や異性に対する意識もないまま、僕がタイツを穿かなくなるまで、

ふざけて、くたびれタイツまたは長靴下の爪先を引っ張りあって、

「なによ、このビロビロ---」

なんてやってたのだから、今では到底理解を得られない、昭和40年代初頭の

出来事である。