更新します♫
高志がシャワーから出てくる。
麻里は彼の家の居間でコーヒーを飲みながら、視覚でとらえていた。
「蹴らなきゃよかった」
「いいさ、痛かったが」
だが、彼女は行為が恐かった。
もし、その最中に彼が冷めるとどうしよう?
それこそ死刑宣告に等しい。
彼女は彼の袖をふいに掴む。
彼は察しているのだ。
「仲直りのキスな」
麻里は素直に頷く。
彼の顔が迫ってくる。
キスの音がする。
さっきまで飲んでいたコーヒーの味がした。
麻里の二度めのキスは、少し苦い。
裏口入学みたいだ。
すべては浅子のお膳立てでできたこと。
浅子は……奪えと、麻里を叱責した。
麻里はしばらく高志の腕の中で目を閉じる。
いろんなことでアタマは一杯だった。
ただ、後悔はなかった。
ふいにテーブルの下にレシートを見つけた。
浅子が渡したそれだ。
「あんなことするなよ」
「はい」
「それからヤケも起こさないように」
「わかってます」
「それから、最後にもう1つ」
「……?」
「愛してるぜ……」
彼は言い聞かせるように繰り返す。
麻里は頷く。
願わくば……、
この世界からあなたが私をおいて消えませんように。
誓いでもなく、願いでもなく。
あなたを愛することで、私は生きて行ける。