中国の北宋時代に徽宗（きそう）
という皇帝がいました。

北宋は、９６０年に建国され、
１６０年続いていたのですが、

１１２６年に「靖康の変」が起きて
金に敗れ、首都開封（かいほう）が

陥落して１１２７年に滅びました。

同年１１２７年、宋は南京に
首都を移して南宋として存続し、
元に滅ぼされるまで続きました。
（～１２７９年）

徽宗が在位していたのは、

北宋最末期の１１００年から

１１２６年で、退位の翌年に

北宋は滅亡しています。

徽宗は敵国・金に捕らえられて

北に連れ去られ、そのまま祖国に

戻れずに没するのですが、

北宋滅亡の、そもそもの原因を

作ったのは、徽宗自身でありました。

実は、徽宗は「風流天子」と

名付けられたほど、書画や造園に没頭し、

政務を疎かにしたのです。

政治が腐敗し、官僚による悪制や

重課税が行われたうえ、

皇帝の浪費で世は乱れに乱れました。

徽宗は、まつりごとの乱れを気にせず、

全国から珍しい石を集めます。

徽宗が集めた銘石・太湖石の中でも

有名な「玉玲瓏」は、今も上海の

豫園（明代1559～1577に造園）

に置されています。

石の切り出し、梱包、運搬、

造園に至るまで、多くの民衆が

動員され、民の不満は大きく

膨れ上がりました。

１１２１年、民衆の大反乱が起きますが、

その首謀者・宋江こそ、水滸伝・宋江の

モデルとされています。

そして、この北宋末期の混乱を舞台に

描かれた水滸伝の中で、石の運搬に

失敗して失脚した作中人物が、

青面獣楊志（せいめんじゅう・ようし）

なのです。

楊志は、家柄も良く、若くして科挙に

合格して近衛隊長に任ぜられた

エリートでした。

下の写真は、中国土産に戴いた

「水滸伝カード・Ｎｏ１７」にある

楊志の姿です。

実は、これは、先日、ある方に

中国土産としていただいた

全１０８人の「水滸伝カード※」

の中の一枚です。

（※プロ野球カードみたいなもの）

日本では、まず入手できない、

非常に貴重なコレクションですので、

大切に致します。
ありがとうございました！

楊志は、背の高い大男で、
生まれつき、顔に青いあざが

あったことから青面獣と

呼ばれていたのですが、

カードをよく見ると、

確かに大柄で、顔に痣があり、

伝家の宝刀・吹毛剣を
大切そうに抱えています。

水滸伝中で、楊志は、

他にも不運に会って零落し、

刀を売らざるを得なくなります。

そのシーンも、印象に残る名場面

になっています。

（横山光輝先生の漫画の一場面からお借りしました）

最後に、上海豫園の太湖石の写真も

載せておきます。

こんな石を運ぶために人生を狂わされた

エリート楊志の悔しさは

どれほどだったでしょう。

青面獣楊志のように「志」ある若者が

まっとうに活躍できる世の中でなくては

国は栄えません。

水滸伝を読み、歴史を勉強すると、

何百年も続いた王朝であっても、

一人の愚昧なトップのせいで

いとも簡単に滅びることを

あらためて認識させられます。

ちょっと寂しげな楊志の横顔を見ながら、

今の世の中について、いろいろと

考えてしまう勝之進でした。

　　　　林冲や史進も好き。。。勝之進

水滸伝の英雄・青面獣楊志