新田次郎 文春文庫


遭難はなぜ起きたのか
それでも僕は行かねばならない。
行きたいんだ----。

冬山では午後になって新しく行動を起こすな---山で発熱した者のためにこのルールに背いて、吹雪の中を彷徨う一行と、その身を案じる家族の懊悩を描く表題作の他、「地獄への滑降」「霧迷い」「雪崩」など、遭難を材にとった全十篇を収録。峻厳な山を前に表出する人間の本質を鋭く抉り出した迫真の山岳短編集

しかし、見方を変えれば、そういう下らないミスを犯すのが人間なのだ、というこがいえなくもない。これまで述べるほうに山では露骨に登る者の人間性が試される。体力や精神力や知識や経験だけでなく、楽観的か悲観的か、楽をしようとする性格か正攻法でじっくり攻めるタイプか、集中力があるかないかなど、要するに人間としての全部が試され、そうした人間としての総体が山を登る時の判断にそのまま現れてくる。

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登山の帰りにA君からこの本をもらいました。
そのコースを歩いたことがあったり、記憶にとどめている人にとっては、より鮮明に情景が浮かんでくるだろうな。 そして、冬山にはまっている人には。 冬山こわい。