坂の上の雲 (六)
司馬遼太郎著 文春文庫
作戦の転換が功を奏して、旅順は陥落した。だが兵力の消耗は日々深刻であった。北で警鐘がなる。満州の野でかろうじて持ちこたえ冬ごもりしている日本軍に対し、凍てつく大地を轟かせ、ロシアの攻勢が始まった。左翼を守備する秋山好古支隊に巨大な圧力がのしかかった。やせ細った防御陣地は蹂躙され、壊滅の危機が迫った。
日本軍は一局面ごとに勝った。つまり相手の土俵ーーー陣地ーーーを奪った。しかし相手はさほどの損傷もうけずに後退してあたらしい陣地をつくってふたたび対峙するのである。そのくりかえしであった。ところが、一局面ごとに国際世論は、「日本が勝ち、ロシアが敗けた」と、世界にむかって報じた。
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