落語家はなぜ噺を忘れないのか

柳屋家緑著 角川新書


第一章 落語家はなぜ噺を忘れないのか

145本もある持ちネタ/熟成されていくネタ/稽古が足りていないネタ/一度覚えたものの現在の自分に合っていないネタ/ネタはどうやって覚えるか/初めは丸々コピーして覚える/覚え方を覚える/古今亭志ん朝師匠の12の教え/立体的に刻まれた記憶/噺に刻まれた情報/試練の口上もの


第二章 いかにして噺に命を吹き込むか

ウケればいいのか?/もともと噺は面白く作られている/笑いがなくても心に残る/噺のツボに向けて進む/登場人物の日常の一部を切り取る感覚/噺は場を選ぶ/「リアリティ」より「らしさ」/記憶に残る師匠の酔っ払い/「間」のマジック/突っ込みの妙/柳家花緑の転機/古典を壊すということ/「守・破・離」の教え/演劇から学んだ優先順位/ネタの再構築/スパイスとしてのギャグ


第三章 落語家にとっての噺の種類

ネタのレパートリー/噺のジャンル/噺を詰める/「初天神」の9シーン/30分の「初天神」が4分半に/難しい噺とは/柳家小三治師匠という存在/前座噺こそ難しい/落語の奥深さ


第四章 自分のネタを作るー「笠碁」への挑戦

師匠の18番への挑戦/「笠碁」あらすじ/NHK収蔵の7本テープ/なぜ「笠碁」だったのか/花緑版のテーマ探し/台本づくり/5代目柳家小さん版「笠碁」の冒頭/柳家花緑版「笠碁」の冒頭/冒頭に込めた思惑/借金話しと青春話/サゲの工夫/枕に込めた「時間」/初演での評価/まだ「いつでも高座にかけられるネタ」ではない/失敗と改正と/ひとの意見/六代目小さん師匠の「笠碁」/落語は「了見」


第五章 伝承芸としての落語

初めての稽古/噺の変え方も伝承される/一門を超えた伝承/上手い人は上手い人を好きになる/芸は盗め/花緑流の稽古/落語界のしきたり/熱狂空間の再現/落語の可能性


 永谷園のCMに知らない噺家が出演して、CMの中に亡き人間国宝小さん師匠に対して「おじいちゃん!」のフレーズが。はは~。孫だったかとの記憶が残っていた。ふと図書館の棚を覗いていた著者がその本人だった。実はテレビを通じても彼の落語を聴いたことがない。まあ、順番はどっちでもいいやとまずは本から。

 落語の裏話的は本だから、ヘ~とかほ~という話題はあるものの、落語の噺を随所に織り込んでいるので、「落語通」でなければわからない部分も多い。詳しい人には面白いでしょう。


 落語家が高座上がるまでにやっていること、高座の上で考えていることを、自らをモデルに明かす。タイトルの「落語家はなぜ噺を忘れないか」に始まり、「どうやって噺を面白くするのか」、「どんな噺が難しいのか」等々、落語にまつわる創意工夫を公開。あまり明かされることのない、落語家の頭の中、手の内を見せる。祖父であり、人間国宝ともなった五代目柳家小さんからの教えも随所に登場。柳家一門および一門を超えて受け継がれていく落語の伝承が感じられる一冊。


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浅草の寄席にでも行くか・・・?