アフリカ・レポート
----壊れる国、生きる人々
松本仁一著 岩波新書
紛争、貧困、そして指導者の腐敗 ジンバブエで、南アで、今何が起きているのか。
豊富な資源が開発されているにもかかわらず、その恩恵は人々に届いていない。多くの人が飢えや病気で死に、部族憎悪が高まっている。世界は、その責任はどうやらアフリカの政府にあるようだと気がつきはじめた。・・・そう、なぜアフリカがおかしいのか、もっと現実を直視して考えてほしい。それが本書のねらいである。苦しんでいるのは人々なのだ。(「はじめに」より)
豊かなジンバブエの農業を10年で壊滅させ、アパルトヘイトを克服した南ア共和国を犯罪多発に悩む国にしたのは誰か。中国の進出、逆に国を脱出するアフリカ人の増加など新しい動きを追い、同時に腐敗した権力には頼らず自立の道を求めて健闘する人々の姿も伝える。30年近いアフリカ取材経験に基づく、人間を見つめた報告。
目次
はじめに
序章 アフリカの今ールムンバの夢はどこへ行ったか。
ワニの川を渡って/一ヶ月働いて卵二ダース/人口の四分の一が南アに逃げていった/16万%を超えるインフレ率/「子どもよ、未来は美しい」は幻想だったのか
第一章 国を壊したのは誰か-ジンバブエで
突然の「価格半減令」/ハンバーガー1個が3000万Zドル/医師も薬剤師も国外へ出て行った・・・/順調だった農業育成/「雨が降ったら開けろ」--農事普及員の活躍/政府が農業に無関心になった/大統領の腐敗と失政/白人農場占拠をあおる/独立後に買った農場も/農場占拠者をお茶に呼ぶ/「48時間以内に出て行け!」--収穫全滅へ/流民化する農場労働者/野火で動物狩り/「苦しいのはあいつらのせいだ」--不満のすりかえ/植民地支配が生み出した多部族国家/「経済崩壊はすべて英国のせい」という政府高官/野党議員を鉄棒で乱打/大統領選挙への挑戦/怒る「死神マンダ」
第二章 危機に瀕する「安全」と「安心」---南アフリカ共和国で
政権の腐敗と治安の悪化/ヨハネスブルクでパトカーに同乗する/警官殺しが月15件/都市に流れ込む貧困層/7年後、再びパトカーで/新手の犯罪、カージャック/殺人は1日50人/電気もない、トイレもない/解放の闘士のあまりにも早い腐敗/治安システムが崩壊する国々/なぜ指導者たちは腐敗するのか/「公の欠如」という問題/腐敗と建設がせめぎ合う国
第三章 アフリカの中国人---南アで、アンゴラで、スーダンで
「新植民地主義」システムの新しい主役/ギャングにねらわれた中国人の店/同郷人頼りに、次々と海外へ/商機を黒人客に求める/「妻の幽霊が出るんだ」/残された借金4000ドルの後始末/ただ一人の中国人警察官/年に1万5000人ずつ中国人が増える?/アワビ犬登場/アワビ犬に密猟者たちの懸賞金/中国製品の卸売が2000店/2万5000ドルの商談も一分で/本国とのつながりを生かす--中国人が業界を制覇した/アンゴラでも増える中国人卸売商/石油を求めて中国政府も参入/スーダン石油開発公司の人々/経済制裁の隙間を縫って/急増する中国人人口/いらだちをつのらせるスーダンの人々/中国への反感と封じられる批判
第四章 国から逃げ出す人々--パリで、歌舞伎町で
マリの村人、パリ郊外へ/パリに住む農協役員たち/パリ大学を出て夜警に/アフリカから新宿・歌舞伎町へ/仕入れてもいない酒に23万円の請求/在日アフリカ人の4人に一人がナイジェリアから/「まず日本女性と結婚しろ」/なぜ歌舞伎町に流れ込んだのか/ナイジェリアという国--ビアフラ戦争の悲劇/崩壊した国家から来た男/高まる母国からの「押し出し圧」
第五章 「人々の自立」をめざして---農村で、都市スラムで
「やる気」をうながすシステムづくり/「ただの援助」はしない/村人が自分で考える/政府の警戒と妨害/学校をつくる人々/ソウェトにできたレストラン/取り残された貧困地区で/「希望の山」の若者たち/元子ども兵のバイクタクシー/内戦の悪夢をのりこえて/地域ぐるみで安全を回復する--マリランドの「ピースメーカー」たち
第六章 政府ではなく、人々に目を向ける---ケニヤ、ウガンダ、セネガルで
マカダミアナッツで年5000万ドル/失敗と改良を重ねながら/遅刻・無断欠勤なし、そして「給料遅配なし」/働く張り合いをつくる制度/「私なしでやっていけます」/ウガンダ最大のシャツ・メーカー/「トマト」の偽ブランドも/遅刻者は追い返す/「与える援助」は終わった/セネガルの岬に生ガキ屋台を/新しい動きは「人々」あら始まる
あとがき
先日、報道番組でジンバブエの通貨がデノミされたとの報道があった。この本が出版されたのは08年8月だから、それ以前の価格としてハンバーガー一個が3000万Nドルしていた。デノミの09年3月には10億Nドル程度になっていたのだろうか・・? 我々はそのニュースに対して思わず失笑してしまっただけだが、どの報道番組も「それではなぜ、インフレが起きたか?」についてはふれていなかった。
簡単に言えば、ジンバブエ独立後、農業輸出国であったジンバブエの白人農場経営者が確立した農業と黒人労働者の好循環を政府が白人の搾取と捉え、崩壊させてしまったのだ。食糧が不足した中での政府による「価格半減令」・・、市内から物が消えた・・・・・。
六本木、歌舞伎町に俳諧するアフリカ人。その多くはナイジェリア出身者だ。なぜ、彼らが母国を飛び出して日本に流れて来るのか? そして彼らの合言葉は「まず日本人女性と結婚しろ」 理由は犯罪で逮捕されても、日本人妻がいれば国外退去を免れるからだ。
幼い頃、’ビアフラ’という言葉を聞いたことがある。ナイジェリア南東部、港湾都市ポートハーコートを中心としたニジェール川流域にキリスト教徒のイボ族が住む。一帯は「ビアフラ」と呼ばれる。1967年イボ族が「ビアフラ共和国」として独立を宣言した。ただちに政府軍と戦争が始まり、包囲され、食糧が枯渇し、数百万人が餓死したといわれる。 日本に来るナイジェリア人の多くはこのイボ族で、ナイジェリアにはイボ族の未来はないと。
今のアフリカの国家には大きく分けて4つのタイプがある。
①政府が順調に国づくりを進めている国家
②政府に国づくりの意欲はあるが、運営手段が未熟なため進度が遅い国家
③政府幹部が利権を追い求め、国づくりが遅れている国家
④指導者が利権にしか関心を持たず、国づくりなど初めから考えていない国家
読んでいくうちに、ジレンマに陥る。政治家が悪いのか、高官か、教育制度/選挙制度の不備か、先進国か、人々自身か・・・? なんの解決策も見出せない。そんな中でNGOの努力がわずかに光を与えてくれる。でもそれはほんのわずかな光なんだろう。
08年5月 第4回アフリカ開発会議が横浜で開かれた。当時の首相 福田元総理は5年でODA(政府開発援助)を倍増すると宣言した。 そのODAの金は結局、政治家、高官、一部の特権階級に流れるだけだ。福田さんはそれを理解しているのだろうか・・・?
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水産はやはり第一次産業なんだ。アフリカの貧困を救うモデルケースでも度々、魚の話しが出てくる。南アフリカのアワビ、セネガルの生ガキ、それ以外にもナイルパーチやタコ、イカ、海老など。。 人類はまず捕獲からか・・・?
ナイジェリアの港湾で魚が盗難されるので、クレームをしたことがある。答えは50年前は野生動物を狩猟していたんだ、目をつぶってくれ・・・・。