ドバイで働くクウェート生まれのヨルダン人 Maher君。 彼の名前は長い。

Mr.Maher Mohammed Houssain Abu Rekaih.  江東区にあるホテルイースト21に予約する時も時間がかかった。日本人が英語の単語を伝える時は都市や常用する単語などを発音してその頭文字を確認する。例えば、Maherであれば、Mexico ’M’、America 'A'のように伝えていく。けっこう時間がかかる。しかも彼がチェックインした後にホテルに電話をかけたときにはMaherでイースト21は彼を特定できなかった。

 

 彼は水産に明るく、海外によく出張すると。しかしそのバケの皮はすぐに剥がれた。翌日の午後、検品を終え事務所でMeetingの後、夕食は何にすると問うと、魚がいいと言う。 刺身は食べられるかと聞くとOKとの返事。 会社近くにある割烹’秀’に行った。 中東のモスリム(イスラム教)であるMaher君もMaher君だが、うちの会社の上司K氏もすごい。なんと刺身でしめ鯖とタコとイカを頼んだのだ。 鯖は青物。魚食が普及し始めた欧米でさえ、鯖、鯵、鰯などの青物は敬遠されている。青物、青魚は泳いでいるときの皮の色、特に背の部分が日の光によって青黒く輝き、船上から見ると魚群が青黒く大きな塊に見える。DHA,EPAやタウリンを多く含むものの、やはり青魚特有のにおいがある。しめ鯖とはいえ、’秀’の酢でのしめ方はほとんど生に近い。 そしてタコ。タコを食べるのは日本、スペイン、イタリアとラテンの国々。先進国やアフリカの国々はDevil Fishと言って口にしない。 さらに日本だって、スペインだって、イタリアだってタコはほとんどが調理されている。ところがジャーン~~ ’秀’のタコは活ダコだったのだ。イカの駄目押し追い討ちでMaher君は完全KO。


 消沈した彼を哀れんだ上司のK氏はすぐに炭水化物が頭に浮かんだようだ。チャーハン、パン、おにぎり、お茶漬け、カレー、牛丼。 割烹’秀’にチャーハンがあるのか?チャーハンにはイスラムでタブーとされている豚肉が入っていないのか?(入っているだろう普通チャーシューやハムが) パンをメニューに載せる割烹など聞いたことがない。刺身や天ぷら、茶碗蒸しの後にカレーや牛丼が出される懐石料理も聞いたことがない。 果たしておにぎりとお茶漬けを頼んだが、Maher君はこれも拒絶した。そうだわなまずはなんだこの黒い紙は?となる。(海苔) お米のjaponicusも口に合わない。ましてなんでご飯がお湯の中に入っているんだ) 残った刺身をつまみながら、焼酎やビールを飲み(因みにMaher君は酒ものまない。結構純正のモスリム)、残ったおにぎりとお茶漬けを食べた我々もMaher君の消沈から呆然とした姿から怒りにかわりつつある表情を見て、この店に長居する理由もなくなった。というより一刻も早くムードを変えなければ、将来日本はアラブ首長国連邦から石油がもらえなくなる懸念させ感じたのだ。(因みにMaher君の会社は売上4000億の水産会社で会社のオーナーは7つの首長のひとりアブダビ首長なのだ。=アブダビ石油のオーナー)


 よし、デザートでMaher君の怒りを優しく包んでしまえ。(←やさしさに包まれたなら by松任谷由美) 我々は隅田川沿いのデニーズに早足に向かった。 デニーズのチョコレートパフェ、メイプルシロップたっぷりのパンケーキ、心を静めるコーヒーにMaher君はなんとシュガー3袋をすべて溶かしこみ、満足そうに音をたてて飲んでいた。 ’’サラマリコン’’ 彼は満足そうに剛毛のひげをさすりながら我々に礼を言ったのだ。