小林、鈴木、松崎ー謝罪する会社の人間

北島ー記者

 

(鈴木、小林、松崎、起立をしている、北島、向かいで椅子に座っている)

 

小林:この度は、我社のインスタントラーメン「激うまラーメンみそ味」に金属片が

   混入しておりましたことを深く反省し、お詫び申し上げます。

   申し訳、ございませんでした。

 

(鈴木、小林、松崎、ちょっと顔を前に出す)

 

北島:いや頭下げろよ!

小林:大変申し訳ございません。そういう社風なもので。

 

(鈴木、小林、松崎、椅子に座る)

 

北島:どんな社風なんだよ!社風だとしても頭下げるところだろ!

松崎:社長が今朝「社風を忘れずに謝って来い」と言っていたもので…。

北島:え!?社長いないの!?誰なんだ!?あんたたち!

鈴木:えーと。私と彼は(小林を指す)同期でして…。

北島:同期とかどうでもいいよ!

鈴木:一緒に飲みに行ったり…。

北島:聞いてないから!役職を言いなさいよ!

小林:私は副社長です。

北島:あんたが副社長なのね。

松崎:私は次期副社長です。

北島:次期副社長。

鈴木:で、私が副社長代理です。

北島:なんで副社長らへんがそんなに来てるんだよ!

小林:申し訳ございません。副社長らへんばかりで申し訳ございません。

北島:とりあえず、なぜ、金属片が「激うまラーメンみそ味」に混入したのか説明して下さい。

小林:それに関しましては、考えらえる原因が52個ほどありまして。

北島:多過ぎだろ!

松崎:(小林に聞こえる感じで)58個。

小林:58個ほどありまして。

北島:増えちゃってるじゃねーか!

小林:「あそこで金属片が入ったんじゃないか?」「いや、ここで入ったんじゃないか?」

   「バカ、そこで入ったに決まってるだろ。あはは」と、社長を中心に盛り上がっております。

北島:盛り上がっちゃダメなんだよ!

鈴木:楽しい飲み放題2時間制でございました。

北島:なんの話だよ!全然、反省をしてないじゃないですか!

   今回の件に関して会社としてはどう責任を取るつもりですか?

小林:我社といたしましては、お客様に多大なご迷惑をお掛け致しましたので、

   「金属片が出たら、もう一杯キャンペーン!」を実施いたします。

北島:金属片を当たり扱いするなよ!

鈴木:実施しています。

北島:もうしてんのかい!

松崎:さらに金属片を5個集めてご応募いただきますと、

   うちの社長のサイン入り特大金属片をプレゼントいたします。

北島:いらねーよ!

鈴木:(クラッカーを鳴らす)

北島:パーンじゃねーよ!あと、特大の金属片は、それはもう金属だよ。

小林:それに致しましても、毎日、お客様からのクレーム対応に追われておりまして…。

北島:そりゃそうだろ。

小林:「今…俺…仕事してるなー」と、実感しております。

北島:どこで実感してんだよ!

 

(「ごきげんよう」の席替えの音楽、席を反時計回りにひとつずつ移動する)

 

(北島、小林、松崎、起立をしている、鈴木、向かいで椅子に座っている)

 

北島、小林、松崎ー謝罪する会社の人間

鈴木ー記者

 

松崎:この度は我社の製造する自動車に不具合が生じましたことを深く反省し、

   お詫び申し上げます。申し訳、ございませんでした。

 

(北島、小林、松崎、ちょっと顔を前に出す、顔の前で手を合わす)

 

鈴木:頭を下げろ!手を合わせてもダメだよ!

松崎:大変申し訳ございません。どういう社風なもので。

鈴木:どんな社風なんだよ!社風だとしても頭下げるところだろ!

北島:社長が今朝「社風を忘れずに謝って来い」と言っていたもので…。

鈴木:え!?社長いないの!?誰なんだ!?あんたたち!

小林:えーと。私と彼は(松崎を指す)恋敵でして…。

鈴木:知らないよ!同じ人が好きとか!

小林:2人とも年下長身スレンダーが好きで…。

鈴木:聞いてないから!役職を言いなさいよ!

松崎:私は副社長です。

鈴木:あんたが副社長なのね。

北島:私は自動車と会話できる能力がある者です。

鈴木:自働車と会話できるの?

小林:で、私が自動車です。

鈴木:いやただのおっさんだろ!

小林:マニュアル車です。

鈴木:マニュアルとかオートマとかじゃなくて!どこが自動車なんだよ!

松崎:申し訳ございません。自動車を名乗るものがおっさんで申し訳ございません。

鈴木:とりあえず、おたくの自動車にどんな不具合が生じたのか説明して下さい。

松崎:まず、発覚致しましたのが、ワイパーが。

鈴木:ワイパーが。

松崎:フロントガラスの内側に付いておりました。

鈴木:アホだろ!

北島:全く雨をはじきません。

鈴木:当たり前なんだよ!

小林:ブップー!(クラクション)

北島:そんな間違いあるのかよーと言っております。

鈴木:自動車と会話できる能力発揮しなくていいから!ありえないミスなんだよ!

松崎:あとですね。エアバックなんですけど。

鈴木:エアバック。

松崎:ぶつかった衝撃で膨らむのはいいんですけど、どんどん膨らみまして。

鈴木:どんどん膨らむ?

北島:早く答えを言わないと、どんどん膨らみまして。

鈴木:答えってなんだよ!バラエティ番組のでかい風船みたいじゃねーか!

松崎:早く答えを言わないと。

小林:(クラッカーを鳴らす)

鈴木:パーンじゃねーよ!エアバック割れたみたいになってるじゃんか!

   今回の件に関して会社としては、どう責任をとるつもりですか?

松崎:我社といたしましては、誠心誠意を込めて対応していきたいと思います。

鈴木:ありえないミスなんだから、お願いしますよ。頑張って下さいね。

小林:(両手をグーパーグーパーする、顔でも表現する)

北島:ハザードで「ありがとう」と言っております。

鈴木:だから自動車での表現いいよ!

 

(「ごきげんよう」の席替えの音楽、席を反時計回りにひとつずつ移動する)

 

(北島、鈴木、松崎、起立をしている、小林、向かいで椅子に座っている)

 

北島、鈴木、松崎ー謝罪する会社の人間

小林ー記者

 

北島:この度は我社の製造するエロDVD作品におきまして、映像に問題がありましたことを、

   深く反省しお詫び申し上げます。申し訳、ございませんでした。

 

(北島、鈴木、松崎、ちょっと顔を前に出す、人差し指を頭に立てて鬼のポーズ)

 

小林:頭を下げろ!なんでそっちが怒ってんだよ!

北島:大変申し訳ございません。どういう社風なもので。

小林:どんな社風なんだよ!社風だとしても頭下げるところだろ!

鈴木:社長が今朝「社風を忘れずに謝って来い」と言っていたもので…。

小林:え!?社長いないの!?誰なんだ!?あんたたち!

鈴木:えーと。私と彼は(北島を指す)元々ひとりの人間でして…。

小林:どういうことだよ!元々ひとりって!漫画か!

鈴木:考えていることが同じだったり…。

小林:元々一人だからね!そうじゃなくて役職を言いなさいよ!

北島:私は副社長です。

小林:あんたが副社長なのね。

鈴木:私はユーザーです。

小林:なんでユーザーがそこに並んじゃってるの!?

松崎:で、私がTENGAです。

小林:TENGAってどういうことだよ!

松崎:洗える奴です。

小林:繰り返し使えるとかじゃなくて!意味わかんないんだけど!

北島:申し訳ございません。TENGAがおっさんで申し訳ございません。

小林:とりあえず、エロDVDで、どんな映像の問題があったのか説明して下さい。

北島:まず、チャプター2で男優さんがチンコを強調するシーンなんですけど。

小林:チンコを強調するシーンってなんだよ。

北島:編集でミスがあったらしく、馬が大地を掛け抜けるシーンになっておりました。

小林:全然違うじゃねーかよ!どう間違ったらそうなるんだよ!

北島:でも、馬が抜いて大地に駆けちゃってるんですよ!

小林:言葉を入れ替えて、それっぽくするな!

鈴木:すげー。馬が抜いて大地に駆けちゃってるよー。

小林:それのどこがすごいんですか?ユーザーさん!

松崎:使います?TENGA使います?

小林:TENGAを使わそうとするんじゃないよ!

鈴木:まだいいです。

小林:まだって、この先使う可能性ゼロではないってこと!?

北島:あとでわかったんですが、これは本来サブリミナルで入れようと思った映像を、

   バッチリ出してしまったということです。

小林:男優さんのチンコのシーンにサブリミナルで馬入れる狙いってなんだよ!

北島:あと、ありましたのが、チャプター5で男優さんがチンコを強調するシーンが。

小林:なんでそんなに男優がチンコを強調するの!

北島:編集でミスがあったらしく、豚が草原を駆け抜けるシーンになっておりました。

小林:だからそうはならないだろ!馬の次は豚!?

北島:ご不満はあるとは思いますが、豚の臨場感は出ていると思います。

小林:いらないんだよ!エロDVDに豚の臨場感!

北島:出てる豚の臨場感で、たまには出してほしいと思います。

小林:出せねーよ!豚はおかずにはならないんだよ!なるよ!なるけどならないよ!

鈴木:うわー。豚の臨場感が出ちゃってるよー。

小林:このユーザーさん、特殊な性癖の持ち主だろ!

松崎:使います?TENGA使います?

鈴木:うーん。うーん。(メチャ悩んでる)まだ大丈夫です。

小林:なんなの?この会話。
北島:ちなみに、こちらもサブリミナルで入れようと思った映像のようです。

小林:なんでサブリミナルで走ってる動物入れんの?

北島:そして、チャプター7、8で男優さんがチンコを強調するシーンが。

小林:そんなにチンコ!?チンコチンコって、なんでそんなにチンコなんだよ!チンコ!

北島:チャプター7は牛、チャプター8が羊の映像になってるんですが。

小林:で、また当たり前のように動物出てくるし。

北島:これはそもそもそういう映像なので問題ないということで。

小林:いや、問題だろ!もはや、サブリミナルでもないじゃんか!

北島:ただ、チャプター12のライオンがシマウマを狙うシーンで…。

小林:完全に動物のDVDだろ!どこにエロの要素があるんだよ!

北島:我社といたしましては、お詫びといたしまして、ユーザー様に、

   次回作品「SMD女子社員ファン感謝祭」に参加していただいて。

小林:SMD?

北島:ソフト揉んでマンド。

小林:なんだ?ソフト揉んでマンドって。

北島:大地を掛け抜ける馬に乗っていただきたいと思います。

小林:なんでまた馬なんだよ!女子社員はどこ行ったんだ!

鈴木:馬、気持ちいい!風切って走って馬、気持ちいい!

小林:気持ちいいの種類が違うんだよー。

鈴木:気持ちいいー!

松崎:(クラッカーを鳴らす)

小林:そのタイミングでTENGAがクラッカー鳴らすな!

 

(「ごきげんよう」の席替えの音楽、席を反時計回りにひとつずつ移動する)

 

(北島、小林、鈴木、起立をしている、松崎、向かいで椅子に座っている)

 

北島、小林、鈴木ー謝罪する会社の人間

松崎ー記者

 

鈴木:この度は我社の…。

 

(「ごきげんよう」の席替えの音楽、席を反時計回りにひとつずつ移動する)

 

北島:よし、今日の謝罪会見の練習はこのくらいにしておこうか。

3人:はい。(小林、鈴木、松崎、返事する)

 

(暗 転)

 

小林:プルルル。プルルル。ガチャ。はいこちら謝罪代行有限会社でございます。

   はい、はい。謝罪代行の依頼でございますね。ありがとうございます。

   はい、謝罪内容が、2024年3月21日「常夏ブリザードベスト」に関する…。

   はい、はい。かしこまりました。お任せ下さい。

 

(明 転)

 

(舞台最前列に4人が並ぶ)

 

北島:この度は「常夏ブリザードベスト」の台本をブログで発表しましたが、

   いかんせん文章のみですので、内容が非常に分かりづらいものになってしまいました。

小林:そして「常夏ブリザードベスト」が面白いのか否かを、

   読み手の想像力に委ねてしまいました。

松崎:またこの「謝罪会見」というコント台本の中に「チンコ」という言葉が、

   国内基準値を超える12個も入っておりました。

鈴木:なお、直ちに影響の出る個数ではございません。

北島:深く反省し、お詫び申し上げます。申し訳…。

4人:ございませんでした。

 

(北島、小林、鈴木、松崎、胸を張ってアゴを引く)