留学するまでのプロセス① では、アメリカ音大留学に至るまで、
どのような過程を経たのか、アウトラインしてみました。
そのひとつひとつを私の事例で解説していきます。

①大学を検討する。
アメリカには星の数ほど音楽を勉強できる大学があります。(笑)
音楽学部全体としてのレベルも規模も様々だし、検討の仕方も
色々あると思います。でも、結局は自分の求めるものに合う大学を
探すのが一番の成功の秘訣。
だから、留学先を決めるにあたり、まず考えてほしいのが、
「自分が留学に何を求めているのか、」ということです。

A. 日本でも音大を目指して子どもの頃から勉強している方。
1. 師事したい先生に出会った。
           →先生にその旨を伝え、その先生のいる大学を頑張って
              受けてみましょう。

2. 既に演奏活動も行なっているような学生のいる有名音楽大学で、
    自分も一緒になって切磋琢磨したい。
           →有名音楽大学へ。幾つもかけて受験できます。
             (一校一校の受験料は日本ほど高くありません。)
但し、カーティス音楽院 は、特殊な大学で、人数が とても限られて
いる上(全体でも150人程度)、若いうちに学生を取るので、かなり
早い段階で対策を取っていかないと、 (例えば、その大学で教えて
いる先生が参加しているサマーキャンプなどに高校生くらいの時に
参加して、可能性を探るなど)難しいでしょう。
他の有名音楽大学も、年齢制限はないものの、志願者は世界中からで、
倍率は毎年大変多いので、早くから対策を練るのが良いと思います。

3. 良い演奏会が沢山聴ける大都会に住みたい。
誰もが憧れるニューヨークにボストン。
やはり計り知れないメリットがあると思います。
但し、都会は生活費もかなり掛かるので、その辺りは考える必要が
あるかも。。

ただ色んな演奏が聴きたい、というのであれば、大学のある町は大抵
色んなイベントが日々開催されており、何もない、という事はありません。
大学自体が大抵町のカルチャースポットとして大きな役割を担っていて、
数多くの公演を企画・運営しています。
私が通っていたワイオミング大学でも、大学がコンサートシリーズを
運営していて、ウイントン・マルサレス、ヘレン・グリモー、LAギター
カルテット、ピンカス・ズッカーマン、ロストロポーヴィッチなど、
超著名な演奏家が訪れ、大学のホールで演奏会を行いました。
そんな時は大抵マスタークラスが行なわれ、レッスンを受けられたり、
楽屋にひょこっと覗きにいくことが出来たり、大きな学部ではなかなか
できないメリットも沢山ありました。
もちろん、近郊の大都市のイベントもチェックしていると、かなりの確立で
良い演奏会には行き着けます。

4. 演奏できるチャンスがたくさん欲しい。
自分でどんどん機会を見つけて行ける人は何処にいても演奏できる
チャンスを見つけていけると思いますが、そうでない場合は、まずは
大学でどんなチャンスが得られるのか考えるのもひとつだと思います。
例えば、少し田舎の小規模な大学。
もしかすると学内でコンチェルト・コンペティションのようなものを
行なっていて、大学のオーケストラとコンチェルトを弾くチャンスを
得られるかも知れない。
また、伴奏要員としてフェローシップを取れる可能性が大きくなるかも
知れない。学生は皆卒業までに
リサイタルをすることが求められるから、その伴奏をする機会は多く、
レパートリーを広げられる可能性も出てきます。

B.日本では音楽を勉強していなかったが、音楽を勉強したい方
最近では日本もかなり変わりましたが、それでも音楽大学を目指そうと
思ったら、かなり小さい頃から専門的に習っていないと、なかなか難しい。
でも、アメリカでは様々なチャンスを得ることは出来ます。
例えば、Community College(日本の短大)で歌を専攻したら、先生に
音大へ進学することを勧められ、音楽を専攻するようになったという友人も
いました。元々才能があったからですが、Community Collegeから
ちょっと名の知れた大学へ編入し、その後、有名大学院へ進学しました。
(逆に、日本で音楽大学へ通っていたからと言って、誰もが有名音楽
音楽大学に合格できるとは限りません。)
他、CollegeでLiberal Artsを専攻し、大学院で音楽学部に入学してくる
ケースもあります。

どのケースも、Admissionの受験までの行程などを良く読むと、
進学を希望する大学が受験に何を求めているのか、
どの程度の実力を求めているのか大凡検討がつくと思います。
まずは自分が留学で何をしたいのか、しっかり考えましょう。