国語の授業で、

あまんきみこさん作の「ちいちゃんのかげおくり」を勉強した小学3年生のNちゃんと一緒に

読解のワークプリントをしていた時のこと。











場面は、空襲の夜。

警報が出て外に出たちいちゃん。

炎に追われ、お母さんとお兄さんと一緒に逃げるが

人混みに揉まれ、2人とはぐれてしまう。

炎が迫る中、「お母ちゃん、お母ちゃん」と泣くちいちゃんを

通りかかった見知らぬおじさんが抱き抱えて、川のそばまで連れて行ってくれる…というところ。







「先生??」


一緒に音読をしていたら

どこか納得がいかない、というか、スッキリしない顔のNちゃんに呼びかけられた。



「ん???」


「“見知らぬおじさん”は、なんでちいちゃんを抱っこしたの??」


「え??? ああ…」


空襲下の状況を想像するの、難しいかな…

そう思って、まずは、言葉を選びながら、

お母さんとちいちゃんがはぐれてしまって、すぐに再会出来づらい状況について私なりの補足して…



「だから、そこを通りかかったおじさんって、

 お母さんとはぐれたちいちゃんの命を救おうとして、抱っこしてくれたんだよね」



「でも…先生、そのおじさんって知らん人でしょ」


「…………!?」


Nちゃんの、どこか要領を得ない、

でも何か言いたげで、どう言っていいか?という様子に、ピンとくる。




…ま、まさかね、なんて思いも持ちながらだけど。





「………ひょっとして……

 “知らない人”に連れて行かれたら危ないって、そういうことかな??」


「うん!!」





あああああああああ!!!

そうきたかあああ!!



私、机に突っ伏したくなる気持ちをグッと抑える。



まさか、「空襲のさなか、見知らぬ女の子を助けてくれた優しいおじさん」が

「小さな女の子を連れ去ろうとする不審者疑惑」という認識で読みとらるとは…びっくりびっくりびっくり









とりあえず誤解を解いて、その後で。










「“知らない人”について言ってはいけませんって

 ずっと教えられている世代ならではですねえ」

と。


Nちゃんのお母さんと苦笑い。









確かにそう思うよねえって感じながらも


なんか、世知辛い世の中だなあなんて、

ついついため息つきたくなってしまった、そんな時間。