YouTubeを検索していたら


名作を朗読しているチャンネルを見つけた。









なんの気無しに、どんな作品があるのか見ていると……


























江戸川乱歩作「白髪鬼」を発見。











昔、おもしろい本はないかと漁った父の本棚の中で


古い文庫を見つけ、何気なく読んで……

その陰惨さや怪奇さに怯えながらも惹かれ、最後まで読み切った日のことを思い出し……

聞いてみることにした。















舞台は明治の中程……であろうか。



旧名家の主人である主人公は、

恋焦がれて迎えた美しい妻と、兄弟とも思う親友とに裏切られ、命を奪われる。


死してのち、その棺の中で蘇生した彼は、死よりも深い恐怖の果てに生還をするが

そんな彼を待ち受けていたのは、妻と親友との裏切り、そして許すことにできないもうひとつの罪だった。



彼は、偶然手にした財宝の力も借り、妻と親友とに復讐果たすこととなる……。

















言葉にしたら、ある意味よくあるような復習劇なんだけど……


すごいのは、全てを終えた主人公の口から淡々と語られているその語り口であり、


その暗く根深い陰湿とも言える復讐心や

彼が仕組む復讐の手段の悍ましさに、一気に引き込まれていくものを感じた。











おそらく。


今のCGだのなんだのと言った技術を用いれば、

この陰湿な、狂気すら孕んだ復習劇を映像化することもできないではない、とは思われる。






しかし。






彼が親友にもたらした、あの凄まじい復讐の顛末は、




文字として認識し、自分のなかに取り込み、

そして二次体験するかのように反復する方が


背筋が凍るような、

そして身の毛もよだつような恐怖を強く感じるのではないかと、どう思わせられる。















この、「白髪鬼」、昭和6年に書かれた長編小説だけど


今読んでも平易で読みやすい文書になっている。

(貨幣単価が違っているのはまあ……仕方ないことだよね)



そして、朗読物語として聞いても……あっという間に引き込まれてしまう。
















映像以上にゾッとする


読む、そして聞くホラー。










秋の夜長を前に、またはまってしまうものが増えてしまった私だった。



















長編小説ですが、ここに貼ったもので最後まで聞くことができます。



ここから先は、主人公の復讐の様子が描かれていきますので、多少閲覧注意かも……です。































文庫版