2023年12月現在 2年生

◆特徴◆

・気温が高い地域でも栽培可能な、温暖化に強い優良品種!

・1本でなる早生品種

・一般的なモモの品種が春に正常に開花し果実が成るには、冬に一定時間以上、

 低温にさらされる必要があり、この低温にさらされる必要な時間を

 「低温要求時間」と言う

・今後温暖化が進行すると、冬の低温が不十分となり、モモの生産が不安定に

 なる産地があるとも言われており、低温にさらされる時間が短くても正常に

 開花する品種が求められているなか、モモ新品種「さくひめ」が誕生した
・最大の特徴が、低温要求時間が日本の主要モモ品種の約半分であるということ!

・温暖化により冬の低温期間が短く、気温が高くても、栽培可能な優良品種! 

・全国で栽培可能、西南地域での桃栽培にオススメ
・さくひめは早生品種で、果実の大きさや糖度は、早生の主要品種である

 「日川白鳳」と同等

・「日川白鳳」よりも数日ほど早く成熟する

・他の桃の品種より早く花が咲くから「さくひめ」 との由来もある

・受粉樹は不要で1本でも実をつける

・ 果肉は乳白色、果汁が多く渋味はほとんどない

 

◆日照◆日なた

 

◆耐陰性◆弱い

 

◆耐寒性◆強い(-15度)

 

◆耐暑性◆強い

 

◆耐乾性◆強い

 

◆生育適温◆

 

◆草丈◆

・鉢植え:1~2m 半開帳性

・地植え:2~3m 半開帳性

 

◆性状◆1本でなる (自家結実性あり)

・自家受粉するため、人工受粉は不要 

・花粉が多く、他の受粉樹にも向いている

 

◆開花時期◆3月下旬

 

◆結実次期◆6月下旬

 

◆結実年数◆3~4年

 

◆果重◆ 大果 250g前後 豊産性あり

 

◆果実のサイズ◆・・・

 

◆糖度◆13度くらい

 

◆用土◆

・土壌酸度:弱酸性

 

◆水やり◆

・地植え:雨が当たる場所では水やりは雨に任せ、よほど雨が降らないときだけ

     土が乾いたら与えます。
・鉢植え:土が良く乾いたら水をたっぷり鉢底から流れ出るくらい与える

     土が乾いていなければ与えない

     夏の水分不足による葉やけを起こさせないように、夏は乾燥したら

     たっぷり水を与える
     葉が枯れない程度に乾燥気味に管理すると甘みが強くなる

・過湿に弱いので冬の水やり根腐れに注意する

 

◆肥料◆

・地植え:桃は土壌が肥えておればあまり肥料は必要なし

     肥料が多いと果実がつかなくなったりアブラムシがつきやすくなる
     12月~2月ごろまでに寒肥として桃の肥料を与える

・鉢植え:6月に化成肥料を与える

 

◆剪定時期◆12~2月

・剪定には夏剪定、秋剪定、冬剪定がある

 夏剪定:収穫の10日前くらいまでに陽光が入りやすいようにまっすぐ上に

     伸びた枝を間引く程度にする

 秋剪定:収穫後9月中旬ごろから下旬にかけて上に真っ直ぐ伸びた勢いのある

     枝を切り、間伐、縮伐が必要なら行う

 冬剪定:開始の目安は、桃の葉が全て散ってからにする

     本格的な剪定は冬に行い、不要な枝を切り作業がしやすい樹形に整枝する

・花芽、葉芽がやや少ない ので摘蕾、摘花は軽めで よい

・せん定時に葉芽をよく確認し、葉芽のない枝を残さない 

・側枝の切り戻し、間延びした側枝の間引き等、意識的に側枝更新をする

 

・1年目:冬は主枝を早く太らせるために主枝の先端を強めに切り戻し、

     側枝は生え際で間引く
     桃は頂芽優勢が弱く上の主枝が負け枝になりやすいので、第1主枝を

     伸ばし、第2主枝は翌年から伸ばしたほうが良い
・2年目:主枝と第2主枝を伸ばしたら1年目同様にどちらの先端も強めに切り戻して 

     勢いをつける

     第1主枝からやや太めに伸びる枝を亜主枝とし、1年枝以上の枝は間引き、

     横ややや下向きに出る枝を残して先端を普通に切り戻す
・3年目:開花しなりはじめる

     直立する枝は夏に間引いて日あたりを良くする
・3年目以降:亜主枝を強めに切り戻して他の枝よりも強くまっすぐ伸ばし、

       込み合う枝は間引く
       3年以上古い枝からは新芽が出にくくなるので、切り戻し剪定の時は

       必ず1~2年の若い枝を残すようにする
       日あたりが悪い樹幹内部は枯れこみ芽吹かなくなるので、

       毎年こまめに古い枝を間引いて風通しと日あたりを改善して

       新しい枝に更新していくとよい

 

 

 

◆花芽の剪定◆

・花芽は夏につけ翌春に開花し結実する
・花芽だけの枝には花が咲いても果実がならないので、花芽がある枝の剪定の際は

 必ず2~3芽葉芽を残して剪定する
・徒長枝の先端にも花芽がつきますが、果実はほぼ取れない

・40cmくらいの枝に良い花芽がついて大きな果実がなる
・花はたくさん咲くが、半分以上生理落果する

・着果過多だと小玉になり木が衰弱して翌年の花芽が充実しなくなる
・着果数を減らすために花粉の多い品種は上向きの蕾は指でなぞるようにして

 取り除く
・5月中下旬に結果枝20cm間隔で1個、葉数30枚に1個にすると大玉になる

 また10cm未満の結果枝は4~5本に1個くらいにすると良い

 

◆植え付け、植え替え時期◆

・秋~梅雨ごろまでが植え付け適期

・開花期が早いので暖地では秋植えをおすすめ
・葉が芽吹いた後に植え付けする場合は根を崩さないように植える
・ももの根は水はけが良く空気が多い砂礫質の深い土壌を好み、過湿に弱い

・通気性の良い肥沃な土を好む
・地植え:日当たりの良い場所に浅く植える

 

・春の植え付け:2月ごろが植え付け適期

        まだ寒い時期であれば根を少し広げ気味にして植え、葉が芽吹いた

        後に植え付けする場合は根鉢はほぐさないで植える

・夏の植え付け:根をほぐさずに植える

        秋の彼岸までは雨が降らないときは水切れに注意する

・秋の植え付け:暖地では植え付け適期

        秋植えすると次の生育期まで半年くらいあるので、水切れに

        耐える苗に育つ

        まだ暑い時期は根をほぐさずに植え、気温が下がっている時期

        なら根を広げて植える

        根がほぐれないときは無理にほぐさず植える

・冬の植え付け:冬も植え付けにいい時期

        土が凍らない地域では冬でも大丈夫

        多少の雪や霜は問題なし

        寒さが心配な場合はマルチングをしておく

 

◆病気◆やや弱い

・縮葉病:若い葉がかかりやすく、葉が赤色に縮れ、膨らみ、やがて落葉する

     感染拡大を防ぐため、病気にかかった葉はすぐに取り除く

     予防するには、発芽前に薬剤を散布しておく

・灰星病:収穫期が近くづく頃、果実表面に斑点ができ、腐ってしまう

     病気にかかった果実はすぐに取り除く

     予防するには、感染しやすい梅雨時に薬剤を散布し、果実がついたら

     果実に袋をかぶせて感染を防ぐ

・黒星病:葉に淡褐色または黒色の斑点ができ、斑点は次第に大きく広がり、

     やがて落葉する

     感染拡大を防ぐため、病気にかかった葉や落ちた葉はすぐに取り除き

     予防するには、定期的に薬剤を散布する

・モモせん孔細菌病:葉、枝、果実に感染する病気

          葉では、まず葉が白っぽくなり、褐色に変色し、穴があき

          落葉する

          果実が感染すると、黄色くしおれたり、褐色の斑点ができ、

          やがて深い亀裂を生じる

          また、枝に感染すると、枝表面が紫黒色に変色し、へこみ、

          ひび割れへと進行し、細い枝だと枯れてしまうこともある

          ので注意が必要

          感染した部位はすぐに取り除く

 

・せん孔細菌病に罹病性であるため、風当たりの強い園地への植栽を避け、

 防風ネット等の対策を取る

・縮葉病は芽吹く前に消毒、他の病害虫は予防消毒と発生次第消毒し、摘果後に

 袋がけをするとよい

 

◆害虫◆やや弱い 

・4月頃からアブラムシや黒星病、縮葉病に注意する

・コシカスバの幼虫が寄生するとオレンジ色や茶色のヤニが出る

テッポウムシ予防樹脂フィルムを塗っておき、侵入を予防する

 

◆増やし方◆

・接ぎ木(9月頃)

・種まき

 

◆育て方注意事項◆

・「日川白鳳」に比べ、果実の成熟が緩やかで、適熟収穫で食味が仕上がる 為

 若採りにならないよう注意!(従来の早生品種よりも樹上での保ちが良い)

・発芽、開花時期が早いため、従来品種に比べ凍霜害への懸念があるため、

 若木のうちは主幹へのわら巻き等、凍害対策をする

・従来品種に比べ低温要求量が少ないため、発芽で 20 日程度、開花で 10 日 程度

 それぞれ早い 

・発芽前防除(石灰硫黄合剤、マシン油乳剤等)や開花期防除が遅れないよう注意

・年により、果皮の荒れや裂果が発生することもあるので、有袋栽培が望ましい


◆さくひめの花◆