出社して外出して

取引先と打ち合わせをして移動。

移動をしてまた移動。

情報をいただいたら

事務所のデスクの前で書類と睨めっこをし、

計算を繰り返し回答。

そんな日常。

もちろん出向く先も案件によって様々で

動き方は都度変わる。


しかしどのようなことであっても


自分を取り巻く空間

サイクルのようなものが変わる事はない。


ただ

時折訪れるあの瞬間だけは

僕の空間をいくらか取り乱す。


それは何気ないときに訪れる。


コピー機の定期メンテナンスで訪れる担当は

いつも弊社の自動ドアの開閉音に負けそうなくらいのトーンの挨拶を済ませたら

デスク横にあるコピー機へと

真っしぐらで歩いていく。


機械の前へ向かい合い

工具を床に置いたらば

申し訳なさそうなそれまでとは打って変わって手慣れた手つきで作業を開始する。


そんな彼に対しては

挨拶をする時こそ一瞬目を切るが

それが終わると何事もなかったように再び業務に勤しむ。


集中が切れ一息をつき

天を仰ぐ時

ようやく聴覚が働き出す。




ゴシゴシゴシ。


カチャ。


スッスッスッ。


カチャ。


..


ゴシゴシゴシ。



ふとその音がする方に目をやると

先程の彼がコピー機を黙々と磨いている。


アクリルとプラスチックの僅かな隙間を

指に巻きつけた布の奥に迫り出す爪を巧み使い隅々まで丁寧に掃除をしている。


案件の事で頭がいっぱいの僕のことなどは

気にする様子もなく

目の前にあるコピー機のことで

頭がいっぱいなのか


同じ空間にいるはずなのに

まるで彼はここにいないような素振りで

自分の時間を全うしている。


彼の今

この瞬間を見ている限りは

僕が持っているような悩みはなさそうだ。


きっとあの瞬間はあの時の僕より

最高の瞬間を過ごしていたに違いない。


けれどあの時は

そんな自分に悲観することよりなにより

それを目撃できたことが

なんだかとても嬉しかった。


僕にとって

あの時の音や彼の姿はそんな気持ちにさせてくれた瞬間であった。


それからなのか

似たような現象を目撃することが好きになった。


これもその類いなのだろうか。


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(靴を磨く動画)


ただ単に僕が綺麗好きだっただけなのか


音フェチだっただけなのか


それはさて置き



思考の目的が不安の払拭であるとしたら

没頭はその究極なのかもしれない。


なにかに没頭できた時


人はもっと幸せを感じるべきである。


夜分遅く寝る前に

頭がいっぱいでなによりだ