転移がんでも頑張る
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言葉だけが一人歩きしているセカンドオピニオン

どこの病院でも「セカンドオピニオン外来」とか、

「セカンドオピニオン相談窓口」

などという文句を見かけるようになりました。

確かに、この制度がスムースに機能している面もあります。


例えば、初めてがんになったので、A病院で検査をし、

検査結果が出たら、そこで治療法をひとまず聞く。

その上でB病院への紹介状を書いてもらい、

検査データを持参して、B病院の治療法を聞き、

A病院とB病院、どちらが良いのかを選択する。


これについては、病院側も

「AとBを比べるなんてけしからん」とは

言いません。当然ですが・・・。


うまくいかないのは、

受診している今の病院を変えたい、というときです。

特に、延命治療を受けることが多い乳がんでは、

治療が長期間になり、主治医とのお付き合いも長くなります。

この間に先生に対して失望感を抱くケースも

珍しくありません。


かくして「どこそこのあの先生が素晴らしい治療をやっている」

「あの病院には最先端の医療機器が揃っている」

「末期のがんを治した先生がいる」

こうした「隣の芝生」的発想は私も受け容れがたいのですが、

そのことは措くとして、こうした場合の「転院」「セカンドオピニオン」は

全く持って難しいと、つくづく感じています。


転院願望を持ったわが「がん友」たちの多くが、

転院先の病院と、現病院とのあいだで右往左往したあげく、

「しょうがない」と諦めて、現状に甘んずるハメになっているのです。


それはなぜか?

わが病院の主治医に「紹介状を書いてくれ」などと言おうものなら、

どんなことになるか。そのオーラをみんなが感じているからです。

こっちが意地悪なら、転院先の病院も頑固じゃないですか。

こちらにどんな事情が横たわっていても、

紹介状を持参しない限り門前払いなのです。


私たちの病院には、

紹介状を用意するシステムは確かに

整っています。

しかしそれを運用するのは主治医です。


私たちの病院の乳がん患者は、

この主治医の特異性によって、

箱根の関所が築かれているようなものなのです。

対する受け入れ側の病院でも、

頑なに「紹介状を持って来い!」なのです。

これってすごく考えさせられます。


「主治医の特異性」と言ったばかりですが、

もしかしたら、こんな先生は少数派ではなく、

ごく普通なのかもしれないと

思っているところです。





転院したい! でも紹介状とデータをくれなんて言えない!

乳がんⅣ期を加療中の私は62歳(いつの間にこんな歳に!)。

手術、再手術、抗がん剤、放射線、ハーセプチンなど

一通りの治療を約1年半続けてきました。


私の主治医は乳がん専門医としては、どうやら屈指の方のよう。

したがって、大半の患者さんは「先生に任せていればいいのよ」と

満足しています。


しかし、ブランド物さえ身につけていれば安心、という

タイプの人間ではない私は、

「黙ってオレの治療について来い!」といった風な

お偉い先生が苦手。苦手というより、

インフォームドコンセントをなさらないこの先生に

数々、ひどい目に遭ってきました。


進行がんは治らない。がんと共存していくのが運命。

とするならば、QOLを大事にしながら、

きちんと説明をする先生に変りたいと、

ずっと願ってきました。


でも、プライドの高い、権威主義的な主治医に

「紹介状を書いて」などと言ったら、今の病院には二度と戻らせてもらえません。

片や、転院希望の病院ではどこも、

「まずは紹介状を」と言うのだけれど、

必ずその病院で引き受けてくれる保証はしないとも言うのです。

チーム医療もなく、腫瘍内科医もおらず、

緩和ケアも心もとない、この病院への信頼感もいまひとつ。


いろいろ壁にぶち当たりながら、

「がん難民」の文字がちらつく今日この頃なのです。


こんなことで悩んでいる、わが乳腺センターの患者さんは、

私ばかりではないのですが・・・。