来ました、の続き。


ずっとやっていた案件がコロナの影響で
延期になってしまった田中。
吐き出して落ち着いたようだった。


話を聞いてほしかった。
聞いてくれてありがとう。


と言い、
いつも言うことを続けて言われた。



一緒に暮らしたい。
一緒に暮らそう。




何度も何度も言われている言葉。
叶わないから言うのですか?




田中は、隣に座る私の太ももに顔をうずめて
何か言っていた。
仕事の話をしているのか?と思っていたけど
どうやら違う。


一度泣いてしまうと感情が昂ってしまって
止められないこと、あるよね。
それだった。
彼は、私とのことで泣いていた。
小さく嗚咽していた。
年末に私が泣いたあの姿だった。



強がらせてごめんね。
本当は弱いのにね。



て言ってた気がする。


私に好きな人ができたら、否定はできない。
認めないといけない。
だけどね?だけど…、
そういうことはないといい。



泣いて落ち着いたのか、起き上がって
田中はそう言った。



私はただただ聞いていた。
寄り添う言葉を探してみるけど、何も思いつかない。
なんで何も浮かばないんだろう。
嘘でもいいから、安心させてあげる言葉をかけられないものか。


あなた以外、好きな人など見つかりませんよ、とか、あなた以外見えませんよ、とか、
あなただけを愛しています、とかとか。