私のランウェイ 第1話 | ときわ通信【ブログ版】京都太秦常盤局

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授業終わりを告げるチャイムが小学校の教室から聞こえた。


「やっと終わったー」


 ランドセルを右肩だけにかけて教室を飛び出した少女、彩花は晴れ晴れとした表情でいつも行く公園へ向かった。


「今日は何をして遊ぼうかなー」


 などと思いながら歩いていたら、ポツリと雨が降ってきた。雨は徐々に強くなる。


「えっ、ちょっと!傘ないんだけど!」


 彩花は急いで家に帰った。


「ただいまー」


 彩花はランドセルを放り投げ、リビングの椅子に腰かけた。雨で外では遊べないので仕方なくテレビを見る事にした。テーブルの上でつまらなさそうに頬杖を突いた。彩花がテレビをつけると、そのチャンネルではファッションショーの特集の番組が流れていた。様々な格好をしたモデルたちがステージを歩いている。


「おお……! すごい!」


 彩花はテレビに近づいて、画面にしがみついた。ついさっきまで遊べなくて憂鬱だった気持ちが一気に吹き飛んだ。それは彩花にはとても新鮮に感じられ、今見ているこの光景が別世界の事のように感じた。モデル達が一人ひとり客席に向かって笑顔で手を振っているのを見て、彩花はこんな世界があるのなら飛び込んでみたいと思った。彩花には純粋にモデルへの憧れの気持ちが出て来ていた。


 彩花ははっと、何かを思い出したようにテレビから離れ、姉の部屋へ向かった。 


「えーと、どこだったかな?」


 彩花は姉の部屋をうろうろして何かを探すように机の上をあさったり、引き出しを適当に開けたりした。しかし、目当てのものは見つからなかったので彩花は本棚を見た。そして、そこに探していたものを見つけ、彩花が本棚に手を伸ばしたとき、後ろから肩をポンと叩かれた。


「何やってるの」


 肩を叩いたのは姉の瑞希であった。不思議そうな表情で彩花を見る。


「ええと、あれが欲しくて……」


 彩花は本棚の端を指差す。


「ふーん。あんたがファッション雑誌に興味を示すなんて珍しいわね」


「べ、別にいいじゃん! どんなのに興味持っても!」


 そう言って彩花はその雑誌を取って姉の部屋を出ていこうとした。


「ちょっと、誰もそれを貸すなんて言ってないわよ。こっちにしなさい」


 瑞希に持っていた雑誌を取られてしまい、違う雑誌を渡された。それにむっとした彩花が、


「これの表紙がいいの! それにあたしはモデルになりたいの!」


 と言い、しばらく瑞希とその雑誌を貸す、貸さないという事で言い争いになった。お互い、雑誌を引っ張り合って離さない。そんな中瑞希が、


「あーそう、じゃあ、応募でもしてみなさいよ」


 と言った。


「そうするよ!」


 彩花は瑞希からその雑誌を力強く奪い取って、姉の前から走り去った。


(続く)



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