私は臓器提供用の心臓を移送中のヘリコプター事故のニュースを見て、父のことを思い出しました。

 

私の父は20年ほど前に亡くなりました。父は心臓移植が必要な「拡張型心筋症」という病気で、心臓移植が必要な状態でした。

 

父は私が高校生の頃にその病気のことを知りましたが、私たち子供にはそのことを話さず、何もない顔をして生活して、私には東京の学校に行かせてくれたり、私がやりたい事をさせてくれました。

私は父がそんな重篤な病気だと知らずにサイパンにスクーバダイビングインストラクターの仕事で海外に渡航してしまいました。

 

私が父の病気を知ったのはサイパンで生活している時でした。

私は1年経たずにサイパンの仕事をやめ帰国して、実家に戻りました。

 

そして、父の主治医に病気のことを説明され、心臓移植が必要なことを告げられました。

 

ちょうどそれから暫くしてから、臓器移植表示カードが施行されることになり、父は「自分が他人から心臓をもらう必要がある身だから」と、「臓器提供意思表示カード」に提供可能な臓器全てを選択し、署名をしました。

 

残念ながら、その時父は臓器移植を日本で受けれる年齢を少し超えてしまったので、日本では移植不可能でした。そのため、渡米して移植をすることを念頭に入れて、入院中の病院では簡単な英語を教えてもらうこともしていました。

 

しかし、入院中に肺炎にかかってしまい父は亡くなりました。

その後、「臓器移植意思表示カード」の父の示した意思の通りに、可能な限り可能な臓器提供をすることになりました。

 

それは、父が臓器移植意思表示カードが施行されて初の提供者となったため、父のことはニュースになりました。

 

そのため、移植中の心臓が使えなくなったことには移植を受ける側と移植提供をおこなった故人側のことを考えると胸が苦しくなりました。

 

ヘリコプターに乗っていた方達もとても辛い思いをした事と思います。

 

ヘリコプターの事故はそれに関わったすべての人に悲劇となってしまいました。