「ドライブ・マイ・カー」の予約DVDが
ようやく発売され自宅に届いた。
まず驚いたのが、
冒頭シーンでの主人公の自宅オーディオ
映画のシーンをTVモニターからパチリ
このレコードプレイヤーとCDプレイヤー
そしてプリメインアンプの全てが
俺のと同じDENON製なのがうれしい♪
アタシの所有物
そんなわけですぐに主人公に感情移入した。
いや、西島秀俊さんには絶対になれんがww
で、観終わった後の感想だが...
まず脚本(脚色)が凄いと思った。
上記表題の短編集の3つが原作なのだが
原作をモチーフに膨らませつつ
チェーホフの戯曲も組み合わせて
(ワーニャ伯父さんを映画の物語と
うまくシンクロさせていて)
新しい物語を紡ぎあわせている。
数ヶ国語が同時に飛び交う演劇ってのは
実際にあるらしいが、プラス手話は斬新。
細かな演出も何気に凄くて、
主人公の心情の流れと車内で座る座席の
変化が見事にシンクロしているし、
家福の左目の緑内障と目薬(偽り)の涙、
車内で高槻から語られる妻の物語の続き
「侵入者」の左目!に突き刺すペン。
日本語字幕で観ていたからわかったが
音が倒れているのを発見する直前に
自宅駐車場の車内から流れる
カセットテープの彼女の声のセリフと
(↑上記の目薬をさすシーン)
演劇最後の手話の部分が重なっている。
映画を観る観客は韓国人女優の
素晴らしい手話の演技に魅せられる
のだが、その一方で西島さん演じる
家福には無音の部分に彼女の声が
重なるという一面もあるんだよね。
さらにそこにみさきとの関係性も
監督が言う「写し絵」のように見える。
字幕で観る外国人批評家には
とても刺さる演出かもしれない。
自分はロード・ムービーが大好きなので
淡々と流れる映像がたまらなかった。
あの🚗は教会の懺悔室も兼ねていたのか
二人のタバコはさながら蝋燭なのかも。
DVDの特典映像で2時間以上に及ぶ
メイキング映像がすこぶる良い出来で
(メイキング映像がマジ泣けるww)
全ての役者さんやスタッフさんから
この映画への心からの愛情を感じた。
コロナ禍で撮影が大幅に延びたり
撮影場所が急遽変更になった不運が
逆に良質で奇跡的な作品になったのかも。
個人的に岡田将生さんには
最優秀助演男優賞を与えたい。
若いけどいい役者さんだなぁ。
カンヌの脚本賞やゴールデン・グローブ賞
など数々の賞を総なめしているが
アカデミー賞となるとどうかなぁ?
作品としてはミニシアター系?なので
娯楽的な要素がなく淡々としてるから
各受賞の情報だけで観る人たちには
「ただただ映画が長いだけでつまらん!」
って、なってしまうかも。
できればワーニャ伯父さんのあらすじを
wiki等で軽く予習しておく方が良いかな。
映画館で観ていないので(3時間は無理)
偉そうなことは言えない立場ではあるけど
自分自身は「パラサイト〜」よりも好きで
日本の映画史に残る作品だと感じたが、、
果たして来月のオスカーの結果は?
追記:
地元の映画館で再上映していたので
やっぱり我慢できなくて昨日観てきた。
事前に極力水分控えて3時間対策したw
最後の方で音がパタッと消えた瞬間の
空気感は映画館でしか絶対に味わえない。
最後にこの映画の原作である
村上春樹著「女のいない男たち」
に関しての個人的思い出。
2013年の秋に8日間ほどオアフ島に
訳あって一人で!滞在していたのだが、
まぁ暇だったので、毎朝6時ごろから
カピオラニ公園〜カハラをジョギング中に
なんと村上春樹さんと2日も遭遇したのだ。
ダイアモンドヘッドロードのここらへんと
ここからちょっと先の下ったあたりで
「ああ、本当に走っているんだ!」
作品の時系列やいろいろな情報をみると
ちょうどこの時期にハワイのカハラの
貸邸宅に滞在してこの短編集を執筆
されておられたのだと思うと
この小説にはとても感慨深いものがある。