閑話休題。
当時のメモにあったこの頃の生活。
どうでもいい些細なケンカの話。
いつも夫の帰りに合わせて夕食を食べていた。
大体は予め料理したものを温め直して盛り付けるだけの状態で待っていたから、
夫が帰ってきてから荷物を置いて着替えてダイニングの席に着くまでの間に支度は整って、夫は座って食べるだけだった。
だけどその日のメニューはカツ丼で。
カツと玉ねぎとつゆは用意して、
最後にカツを卵でとじるのは夫が帰ってきたあとに、食べる直前に調理した方が美味しいよなと思って、最後の工程はしないまま待っていた。
夫が帰ってきてからすぐに調理すれば着替えてる間に出来上がるかと思って。
でも、モタモタしているうちに夫は着替え終わっていて、
だけどまだ卵はいい具合には固まっていなくて、
「え、用意遅くない?」
そう言われてしまった。
疲れて帰ってきてご飯で待たされたくなかったのかもしれない。
でも別に1から作ってる訳じゃなし、もう5分もかからずに出せる。
大体帰る時間だって一定じゃないうえ、それを伝えるLINEができなくなったのは彼の犯罪行為のせいではないか。
その場は、ごめん、すぐ出来るからと流せたが、イラッとしていた。
で、それを踏まえての翌日。
その日は珍しく19時半には帰ると事前に伝えてくれていた。
だから一緒にカレーうどんを食べようと思い作っていた。
麺は別茹でにはしていたけど、
夫が帰ってきてからカレーと合わせて煮込むと、また支度が遅いと言われてしまうかもしれない。
19時半に帰ると言うなら、多少前後してもそう遅くなる事はないだろうし、一緒に煮込んでよう。
そう思って煮込んだところ、
20時を過ぎても帰らず、
帰宅は22時に近かった。
…うどんはカレーの汁を吸っている。
温めて出そうと火にかけたら、つゆが少ないせいで炒めもののようなジュウジュウとした音がした。
「え、焼きうどん?」
カレーうどんと伝えたのに、
怪訝な声での一言に
「19時半に合わせて作ったからこうなったんでしょ!」
と、怒ってしまった。
ついでに、昨日用意が遅いと言われた事もあってこうしたのだと、合わせて怒った。
一応この時夫は謝ってくれた。
昨日のことも嫌味で言った訳ではなく、いつもは早いのに珍しいねという気持ちで言ったのだと。
些細なすれ違いだ。
多分そうやってボタンはかけ違っていったのだ。
ではここですれ違いに気づいて元に戻せるかという話だが、
メモには続きがあって
この後、食後にパウンドケーキを食べようと2人分用意する。
パウンドケーキは昼に私が焼いたもので、生クリームを添えて出した。
一緒に紅茶も飲もうと私が淹れている間に、夫は1人でケーキを平らげ、感想も聞かせてもらえないまま2階に上がってしまう。
紅茶は、と聞けば要らないという。
…一緒に食べようと用意したのに。
私1人分のケーキと紅茶がテーブルに残された光景。
すごくすごく些細なこと。
今振り返れば、22時にカレーうどんの後にパウンドケーキは重いかもしれない。
夫もそうは言えず気を遣った結果だったのかもしれない。
大体カツ丼とかカレーうどんとか作り置きに向かないメニューをわざわざ平日作らなくても、と今なら思う。(この時は妊娠中だったのでその時自分が食べたい衝動があって作ったのかもしれないが)
だから割とお互い様ではある。
私の独りよがりも多分にある。
ただ…、当時の私のメモには寂しさが残っている。
家では食べるか寝るかだけなら、
せめて食べる時に幸せを共有できればと思っていたんだろうなぁと…
そんな当時の記録。
…ちなみに、
こんな瑣末な言い合いは詳細を書いていた割に、
もっと傷口を抉るような話合いの記録はない。
また離婚話に発展した、とかいう記述はあるけど、
なぜ、とか、どんな風に、は書かれていない。
書かなくても忘れるはずがないと思ったのか、
書かずに忘れたいと思ったのか。
書き残す気持ちにはなれなかったようだ。