バイクに乗らなくなったのは、

薬の影響なのか、
逮捕後の心境変化なのか。


勧めてみても、そういう気分ではないと返された。


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出産予定日までは1ヶ月を切った。

お腹の子は順調で、よく動く。
私の体調も、波はあるが比較的安定していた。


普通なら、幸せの絶頂だろうな、と思う。


お腹の子に夫婦で語りかけたり、
胎動に微笑み合ったり、
産まれてからを想像して用品準備をしたり、


そんな日常を、結婚前は当たり前のように思い浮かべていた。


なのにこの現実。


元より夫はお腹の子に興味がないようではあった。

私が妊娠してから態度が冷たくなり出したのだ。



子どもを望んでいなかった訳ではない。
結婚前には子どもは2人欲しいねと言い合った。


妊婦検診には付き添ってくれる。


ただそれは義務で行っているように感じた。
子の成長を一緒に喜ぶとか、出産を楽しみに待つとか、そんな気持ちは夫からは感じられなかった。
検診に付き添わなかった時のエコー写真も、見向きもしなかった。
夫からお腹の子の様子を気にかける言葉など、おそらく聞いたことがない。


産まれたらもしかして変わるのかなと、淡い期待を抱いていたところに逮捕されていた。







臨月に入り、

出産時の希望の紙を病院に提出するのだが、


立会い出産は希望しないと書いた。


夫も特別希望はしていないようだ。
絶対にイヤではないけど、
是非立会いたいという訳ではない、といったところだ。


私としても絶対に乱れるであろう出産姿を、希望しない人になど見られたくなかった。
立ち会われても邪魔だと思った。



へその緒は誰が切るか、という欄もあった。


立会いをしたら夫が切ることが多いと説明を受けた。


絶対にイヤだと思った。


自分で切りたいと希望を書いた。


産まれる前からこんな目に遭わせる人に
立会いだとか
へその緒を切ってもらうだとか

嫌悪感しか湧かなかった。


分娩室や病室に入れたくない人を書く欄もあった。


義両親などは分娩室には立ち入り禁止にしていると言われた。



義両親はまず来ないが、

むしろ夫と書きたかった。



多分もう、
私は夫が嫌いだった。




盗撮を知った時に味わった絶望よりも、

その後の、信頼の回復に努めないような態度が許せなかった。


それだけの事をしたという自覚がないのが考えられなかった。



警察に下げる頭はあるのに、

裏切った私や娘の存在は軽く見る態度に

心底軽蔑していた。




病気の診断を受けたところで
免罪符にはならないからなと、

悪魔のように思っていた。




お腹に子を抱えていても、
私はちっとも聖母じゃなかった。