俺が下す俺の為の鉄槌 | 雑踏水族館 -Crowd Aquarium-

雑踏水族館 -Crowd Aquarium-

日々の出来事や創作物を展開しています
是非、覗いていってください

憎たらしい

実に憎たらしい

あの男、いつも俺の邪魔ばかりしやがって


鉄槌だ、鉄槌を下してやる


別に正義のためってわけじゃねえ

何せ俺が俺のために行うんだから


もうあの男のせいで俺は今までとんでもない目にあってきた

昔から奴のことは嫌いだった

どれだけ勉強してもあの男には敵わなかった

まず、それがあの男を嫌いな理由



まだある

昔付き合っていた彼女にフラれた

何故か!?と尋ねると、他に好きな人が出来たとのこと

失意の中、街を歩いていたら彼女とあの男が一緒に歩いている

あの野郎、殺してやる



他にもある

俺が受けた大学、もう俺は必死に勉強した

必死に勉強しすぎたくらい勉強した

あの男が俺と同じ大学を受けることを知った

あの野郎、殺してやる



また俺の邪魔をする気か

しかし、そうはさせない

俺は必死に勉強した

見ていろ、貴様を乗り越え俺は高みに登ってやる


インフルエンザにかかった

しかし、ここで負けるわけにはいかない

俺は這うようにしてその大学を受験した


そして、奇跡は起こった

全教科0

そして、落ちた

しかも、あの男は合格していた

あの野郎、殺してやる


俺も一年遅れで大学に入ったら、あの男に新しい彼女が

あの野郎、殺してやる


あの男宛の手紙が何故か俺の家のポストに

あの野郎、殺してやる


この前段差に躓いて転んだ

あの野郎、殺してやる



このようにあの男は俺の邪魔を何度となくしてきた

よって、俺はあの男をついに殺すことにした

あの男の家はこの辺だ


ん?

停電だと?

一体運はどれだけ俺を見放すのか

いや、これなら逆に家に侵入しようとも気づかれまい



俺はあの男の家に忍び込んだ

何処だ、何処にいる?


その時、向こうからドタバタする音が聞こえた

俺はそこに向かって走る

勢い良く扉を開け、横になっている人影を見つけた

鳥目ではないのがこんな所で役に立つとは


俺はナイフをあの男に突き刺した

どうやら心臓を貫いたようだ

全く動かない


やった、やったぞ

ついに俺は鉄槌を下したんだ

その時、明かりが付いた


俺の目の前には、ナイフが突き刺さった全く知らない男がいた