ときドキ時計SS.08 愛国すず『逢魔ヶ刻に気をつけろ』 | 《ときドキ時計》公式STAFF BLOG

ときドキ時計SS.08 愛国すず『逢魔ヶ刻に気をつけろ』

みなさんコンバンハ!
担当Pの「sakura'萌え'zx」です。

ちょっと・・・生活が逆転・・・
そんなあなたに! SSをどうぞっ!

ときドキ時計 CV.15 愛国すず(ネコ娘) CV:折戸マリ

SS.08 愛国すず『逢魔ヶ刻に気をつけろ』
シナリオ:関根聡子


「キレイな小石がひと~つ、キレイな小石がふたつ~♪」

にしても、時見神社の石は白くてさわり心地がよいのだ。

今日は新しい神主候補が来る日なのだ、石の数を教えて尊敬させてやるのだ。

――ボーン ボーン ボーン

おっとー、時計塔の大鐘の音が三回!

オヤツの時間なのだー!

ぬぬ? ということは、そろそろ新しい神主候補が来る頃なのだ?

けけけ、オヤツの時間帯に来るとは、今度のヤツはなかなか気がきいているのだ。

なにしろ先代の神主はじじむさくていかんかったのだ。

オヤツといえば、塩豆大福かスアマだったのだ。

あれは食べれば美味いのだが、いかんせん飽きたのだ。

わしが食いたいのは『ちょこ』や『くっきぃ』などの今時の菓子なのだ。

だから、今度の神主候補にはなるだけ若いヤツがいいと伝えたのだ。

そして、手土産には必ず「けぇき」を持参するよう言っておいたのだ! けけけ!

お、おぉ? 階段を上ってくる装束姿の人間がいるのだ。

アイツはもしや……新しい神主候補、『けぇき』なのだ!?

しかし――。

『けぇき』の箱……は持ってないようなのだ……?

まさか……忘れたのだ……?

おぉ…………おのれ人間の分際で! このわしに楯突こうとは……なのだ!

……なかなかいい根性してるのだ!

よし、いっちょ驚かして本性を見てやるのだ! けけけっ!

まずはアイツがこの鳥居をくぐったと同時に草木を揺るがして~不安顔しているところに、わしが華麗に登場っ――――……てっ……。

あれ? アイツどこ行ったのだ? ――っていつの間に後ろに!?

そうか、お主も妖怪なのだ!

ぬぅ……ちがうのだ? なになに?

前神主が? 『ネコ娘は驚かせてくるだろうから』と言われて先手を打ったのだ?

ちっ……あのじじいめっ、いらぬことを吹き込んでいるのだ、くそうっ。

おい、三下の小童! 『けぇき』はどうしたのだ! 『けぇき』は!

ふん、黙りこくっておるのだ。やはり持ってこなんだか。

……ん? なんなのだ、その風呂敷包みは。

菓子折り? おぉ、わしにくれるのだ?

じゃ、遠慮なく開けるのだ……。

パカッ。

はうっ! この包装紙は巷で流行の、どじょう煎餅なのだ!

三丁目のおばあちゃんが参拝に来たときだけ食べられる、わしの好物なのだっ!

でもなぜ『けぇき』ではないのだ?

大きいのを用意したから、クール宅急便で来ます?

おぉ……なのだ。

お主、なかなかやるのだ……。

んで? 今日からこの時見神社の神主になりたいと?

このご時勢に神主になりたいとは、物好きなやつなのだ。

まぁ、わしがGOサインを出せば? 神主になれないこともないのだ。

しかし、それには条件があるのだ! なぁに、簡単なことなのだ!

わしとしばらくここで暮らすことなのだ! けけけけ!

うわー……なんなのだその安堵の顔は?

『こんなガキンチョのネコ娘と暮らすくらい、ワケない』だとぉ!?

こんの小童が! そう言ってられるのも今のうちだけなのだ!

いまは夕方、逢魔ヶ刻なのだ!

わしの真の姿、両眼をクワッと開いて、しっかりみるがいいのだ!


ハイ、ドロロンッ! なのだッ!!


かっかっか、どうだ、わしのこの姿! 驚いたか?

フッ、驚きすぎて声も出ないようだな?

わしは1200年を生きる大妖、化猫すずだ。

目をカッ開いてよく見るがいい、我が姿! 

尾が九本、鋭く煌く瞳に誰もが恐れを抱く――!

くくく、口を開けてポカンとしておるぞ?

なに? 尾が九本なら妖狐ではないかって?

まぁ、猫も狐も親戚のようなものだ。

でも気になる? とな。

尾の数など些末なことだ、もう気にするな。

……ま、人間の中じゃ肝が据わっているほうだ。

よし、気に入ったぞ? さっそく歓迎してやる。

まずは手始めだ。

一緒に風呂に入るぞ?

……かっかっか、急に萎縮しおって。顔が赤くなっておるぞ? かかか!

ちなみに風呂に入ったあとは布団で一緒に寝るぞ?

一組しかないからな、かかか!

まぁ、これも神主になるための修行と思え。

さぁ夜は長い。

お主にわしの相手がつとまるか、楽しみだぞ?

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