前回の続き

 

那美子

「なんだかスキーが中心なのに~ 歴史の講義になってしまんした(^^)

皆様 ごめんちゃい^^」

 

谷口さん

「とても面白いです。楽しめました」

 

鎌田君

「今晩も楽しく歴史の勉強ができてありがとう」

 

などなど、全員が喜んでいる。

 

那美子

「では、では!某の今晩の最後の講義を聴いてくだされば幸いであらしゃいますが、よろしいかな?」

酔ってはいるが、酔われることがない本物の酒飲みギャルが那美子だ!

 

那美子

「本日は某の作家でデビューのよき日として、大好きな織田信長様のショートストーリーを話させてくださりませ。戦国の秘話でござる。某が現地調査して書いたゆえ歴史とは違うこともありまするが歴史は勝者の歴史でござるゆえ現場調査も面白きこととご理解くだされば幸いであらしゃいます」

 

ということでノートを取り出し話はじめた。

 

那美子

「織田軍の最大の敵は武田、一向一揆でござるが、その裏で暗躍する忍者軍という説で話が展開いたしまする。

 

ではでは!

 

戦国秘話 天正伊賀の乱

陰の天下統一戦 

時は戦国の天正年間。横井時泰は熱田神宮の神官兼武将であり五千石の領地を尾張国桶狭間の東方一里の地、横井村にもつ。先祖は尾張国造であり、熱田大宮司の子孫である。
この地、鎌倉幕府が滅びた後、幕府執権北条高時の次男、時行を熱田大宮司が助け、両家が合体し、北条家の血筋を残した歴史の陰に隠れたスポットなのだ。
桶狭間合戦の奇跡的勝利も実はこの地の横井村の地理に知悉した熱田神宮氏子達の策により日本の歴史が大転換した地である。桶狭間イコール「時の狭間」なのである。
尾張の覇者である織田家には室町以来の影の隠れ重臣が存在した。織田信長が信頼する横井家は熱田大宮司家と鎌倉北条家の系統であり、決して表にはでない影の信長の参謀でもある。

横井村の武家屋敷に夕刻、織田信長が内密で訪れている。屋敷は熱田神宮の分社八剣社の横にある。鎮守の森に囲まれた静かな場所であり、近くに猿投山源流の川が流れていて、川向こうは三河国である。内密の作戦会議が三名で行われている。
信長 時泰 そして横井家の家臣である平高政。高政は横井家の分家である。3人は酒を酌み交わしている。信長は時泰 高政より一回り以上年上だ。信長は二人が織田家より古い家柄でもあり、その血筋だけでなく陰の貢献と活躍を賞賛しているためか?通常の家臣への接し方とは全然違うようだ。魔王信長は普段とは違い今は温和に見える。

「大殿 お体の調子はいかがでありますか?」と時泰が聞く。

「おお、熱はおかげで下がった。それにしても不思議じゃ。伊賀に行こうとすれば、いつも高熱がでる。何度も同じことが起きれば、伊賀には何かがあるとしか思えん!どう思う高政?」と信長は一気に酒を「ぐいっ」と飲み干した。

姿勢を正した高政は
「はっは。大殿。先日は時泰殿と伊賀に赴き、敵の忍者の上の者との表向きの和合という策の駆け引きをしているときに感じたことでありますが、どうも伊賀の神社全部で大殿を呪い殺そうと集団で祈祷を行っているようで」と高政が言うと。

「であるか!その祈祷はかなりの大集団で行っておるようじゃの?」との信長が少し不安そうに答えた。

そうしたら時泰が話題を変えた。
「服部半蔵には時の流れの重要性を何度も説きましたところ納得がいったようでござる、織田軍に完全な協力は可能。それに織田、北条と同じ平家だということもあるゆえ、甲賀忍者も半蔵の関係で我が織田軍に従いまする。
されど、残りの伊賀の一族は並大抵ではない。多くの国に情報を売り、暗殺や人心錯乱も依頼されれば忍法を使い高き収入を得ても、依頼された国への忠誠があるはずもなく、その国を利用し最終的には、自らが天下を取る目的は明らかでありまする」

信長は
「時泰殿の策のおかげで多くの忍者軍は味方に引き入れた。これで伊賀包囲網は出来上がった。織田家の最大の敵は一向一揆 武田 上杉などではなく、その後ろで天下を陰で狙う忍者軍じゃ」

高政
「大殿 忍者の究極の必殺技を発見いたしました。何だとおもわれまするか?」

信長
「魔物の住む里は何をしでかすかわからぬ。この信長を祈祷で呪い殺すことであるか?」

時泰
「実は忍法による忍者自らの魂の離脱でありまする。策を盗まれれば苦戦は必定」

信長はやや驚いた様子で
「なんと!この信長 神仏はないとう風評をわざと吹聴させてはおるが、織田家の氏神は越前の剣神社 
霊魂の存在は認めておる。これほど体調を狂わせられ、策も盗まれることも多い、何かあるかとは思うてはいた」(信長は実は勤皇である。中世を早期に破壊するために手段を選ばなかったため魔王と言われるわけである)。

時泰
「今、ここで我らの作戦会議は忍者には漏れませぬ。なぜならここは熱田のご神体が掲げてあり結界が張られているゆえ、敵の霊体は進入できませぬ。この地は神武以前より当家が存続した隠れた神域でありますゆえ」(須恵器が出土しているのは事実)。

高政
「しかし、その究極の業ができる忍者は二十名とはおりますまい。いつも我らとの会合ででてくる忍者の上層部の一部、名を上げると、赤竜 青竜 黒竜がその代表。赤竜はなんとクノイチでありまする。その他、数名が業が可能かと?あくまで推測ではありまするが」

時泰
「棟梁はその業はできぬと思いまする。棟梁よりその三名が相当な力を持っておる。クノイチは普段男の姿をしており、中忍 下忍はクノイチとは知りますまい。3名が陰の棟梁と存ずるが?」

信長
「棟梁 藤林長門の側近が、恐ろしき業の使い手のようじゃの。ところで、これからの策はどのように練っておる?」

時泰
「当家の巫女桐子を伊賀家に嫁がせておますゆえ敵の動きは、ほぼ察知できまする。桐子は忍者と同じように自らの心を読まれぬ術を身につけているゆえ、察知されることはないと存ずるが、伊賀殲滅の策は長門と三名が伊賀に集結した時に大軍をもって攻め入ることが大事かと!その時、大殿のご決断を!」

高政が酔ってきた
「桐子は時泰兄を心からお慕い申し上げておりますゆえ。じゃが、無事を祈らずにはおられませぬ」

信長
「時泰殿も罪な男よの!」といつも強気を装う信長が心を開いている。敵だけでなく家臣さえも心から信じない信長がである。まるで信長と時泰が交代したようなシーンが展開する。

時泰
「三名の中で一人でも生き残ったら、後々、織田軍にとり最強の敵となることは必定。三名の最強幹部の首を取ることが天下を取る最速の術と!」

高政
「時泰兄は桐子にこう説得いたしました。熱田大神の化身楊貴妃が世界最強の唐の日本大襲来を防いだ話をとくとくとしたのであります。楊貴妃の色香は周囲に発散し玄宗皇帝の側近さえも簡単に諜略できました。天下を取るためには手段は選ばぬことは時には重要。もし唐に負けていれは日の本の国は唐の属国となり天主の存在もなく、国の名も変わっていたことでありましょうと」

高政は桐子に惚れていたようだ、そのことを信長が察知したのか話題を変えた。信長という武将は気違い一歩手前のように言われるが、本当の信長は気配りが実に上手い武将だったことは事実のようである。
「高政 そちは蘭丸以上の美丈夫ゆえ、その重臣クノイチから何かを聞き出したのであるか?」

高政は少し嫌な顔をし
「大殿 赤竜は醜女でござる。されど、忍者幹部の集合日時は聞きだしました」

信長
「であるか!されば伊勢からも伊賀に攻勢をかける手はずは整っており、後は時期を待つのみかの?」

続く

 

今晩の講義はここまで!

皆様!飲みませう(^^)