前回からの続き
 
着物を着た、能面のような不気味な女の霊!~聞いただけで、なんとなく「ぞぞっ」と来るぜ!
 
店を出たあとに店の北方に車を走らせた。今日は薫子先輩の日産スカイラインに乗せてもらっている。
 
先輩
「木田君は、古事記の黄泉の国って知ってる?」
 

「あ~。確か、秋葉神(カグツチ神)に焼かれて死んだイザナミ神を慕い、あの世まで追って行ったイザナギ神の話でしたね。
 
(ストーリーを理解するためにクリックしてご参考に!)
http://homepage1.nifty.com/tosyo/kojiki4.html
 
http://homepage1.nifty.com/tosyo/kojiki5.html
 
確か、黄泉の国のヨモツシコメという鬼女に追われたイザナギノミコトは命からがら黄泉から逃げて来たという
神話ですね。聖なる桃を投げてシコメを追い払ったという」
 
先輩
「木田君 なんとなくさらに北に行ってみたくなったわ!K市に!A神宮鎮座以前の神社があるわ。U神社。
行けば何かわかると思う」
 

「そういえば、K市には桃花台という町がありますね。もしかしたら、イザナギノミコトが鬼女に投げた桃の伝承に何かリンクしそうですね~」
 
先輩
「よくわかったわね!実は店長さんの後輩さんが言われるように、そのへんによくある祟りの範疇を超えていると思うの」
 
ということで車はN市の東北方面に向かったのだ。
 
ひたすら国道、19号を北に車を走らせている。
 

「ところで、先輩!あの店はどう感じましたか?俺は全然わかりませんが、店長と受付の子以外の営業の連中はなんとなくボーとしているような気がしましたが?」
 
先輩
「私は霊は見えないけど、なんとなく神出鬼没の能面のような女の霊が祟りを起こしている感じがする。
それも広範囲で。隣の店も道路を隔てたカーショップも同じ。そういえば、小柳弁護士が言っていたことがあるけど、あの辺の地主の相続争いが10年も続いていてまだ決着がつかないそうよ。多分あの店は借地だから、店長さんの話から推測すると、そのトラブルを先生が依頼されているかもしれないわ」
 

「えー!あのやり手の弁護士先生でもまだ長引いているんですか~」
小柳弁護士は先輩の長い付き合いの敏腕弁護士なのだ!
 
先輩
「鬼女は複数よ。かなり強い!あの店からさほど遠くないI城がある町の私の知人のご主人が自殺したわ。
夫婦仲は悪かったけで原因はリューマチの痛みに我慢できずK市の山奥で首吊り自殺。
もうひとつ、あの店の北の土地を仲介したことがあるけど、前の所有者のご主人は若くして脳溢血で突然死亡している。
つまり私たちに因縁がある方の不幸現象が多発しているということは、昔、古戦場だったことの因縁も大きいけど、それ以上の原因があるかもしれない」
 

「なるほど!霊だとか因縁も非科学的だと言う人も多いですが、統計的判断すれば、オカルト現象や不思議なことが起きることは結果が実証しますものね~」
 
先輩
「それと、I城は徳川と豊臣の戦いの大激戦地だわ。I城と店の中間に砦がある。その砦は有名ではないけどかなりの大激戦地らしいの。その砦の横の借家に幽霊がでるということで相談にこられた方に賃貸マンションを紹介して入居してもらったことがあるわ。オーブのような魂が霊視が利かなくて見えるそうなの。
借家を見てきたけど、霊が見えない私でも強烈な悪因縁を感じたわ。極論を言えば、守っている守護霊や先祖のバリヤーも突破して病気や不幸現象を起こすほどの悪霊がいるという感じがした」
 

つまり古戦場跡地だから祟りがあるだけではない結果的な不幸現象も事実だということなのだ。
 

K市のU神社に到着した。
 
すばらしい神社だ!静かな山郷に鎮座している。拝殿の屋根の龍の彫り物がすばらしい。重要文化財ということだ。拝殿の裏に池があり日本庭園のようだ。裏山には奥宮があるという。いつか登ってみよう。


由緒は、この県の祖神であるタケイナダノミコトを祀っている。ミコトはヤマトタケルの副将軍として東国東征をした。
その大遠征が終わったあとに東国から海路を経て、この県に帰る途中に相模の海に落ちて亡くなったという話なのである。ミコトの霊を祀ったのがヤマトタケルだ。その後、ヤマトタケルも伊吹山で悲劇の最後をとげる。
大都市の近くにこんな静な鎮守の森があったのに感激!
 
先輩とともに神域を長い時間をかけて散策した。
 
拝殿の裏の池の前。


 

「先輩、何か感じられましたか?」
 
先輩
「うん!信じる信じないは別として聞いて!
タケイナダノミコトは相模の荒海で突然の部下の狂乱で海に突き落とされたようよ。でも突き落とされ海で溺死する寸前に幽体離脱をしてA神宮に帰ったようよ。つまりA神宮の祭神のおひとりはタケイナダノミコト。つまりミコトはA神宮に使わされた神の使いなの!」
 

「ほ~。これは驚きですね~。
ところでA神宮は古文献によると天神七代の御所だとか?前に先輩が言われましたね~」
 
先輩
「そうね。ネットで偶然に見つけたわ!でも最近そのHPは消えてしまったけど他の資料などで実は真の天神七代の御所という説もある」
 

「もしかして、先輩~。A神宮のお使いの神までが殺されるほどの厳しい土地がここだというわけなのでしょうか?最近多少、先輩が考えていることがわかることもありますから」
と多少口説き文句を追加しようと思ったが!まるでA神宮の位が高い巫女のように先輩が見えたので口を神様に止められたような感じがしたぜ!
 
先輩はにっこり笑い!
「木田君!さすがに女心を知悉したフレキシブルな発想ね!と那美ちゃんなら言うかもね~」
と言われ、がくっときたぜ!
その厳しい土地の意味は次回に!