前回の続き
 
母であるイザナミは、従者に操縦させた天の浮船で、わが子を探しに宇宙空間に飛び立った。


銀河の果てでとうとう、わが子蛭子の浮船を見つけたイザナミの心に、わが子のテレパシーが響いたのである。


神から無限の力をいただいた蛭子は通信を脳波でできる神人なのだ。


「いとしき母上、はるか銀河の果てまで、よくお越しくださいました。近くの惑星は地球に似た星です。
そこに着陸し再会をと思います。どうぞ、私の船について来てください」


イザナミは涙を流しなが蛭子の船を追うように従者に言った。


突然、蛭子の船が急旋回をし左に逃げるように高速で方向を変えてしまったのでイザナミ船は旋回不能となり蛭子船を見失ってしまった瞬間。目に前に巨大なる大竜神が出現。大きささ何百メートル。
大竜神の口が開き、イザナミ船を口でくわえ、思いっきり首を振り回しイザナミ船を投げ飛ばしてしまった。イザナミは絶叫とともに失神。船は宇宙空間のポカリと開いた巨大な穴に吸い込まれてしまった。
巨大なブラックホールの中で船は溶けてゆきやがて消滅してしまった。


巨大なる円盤に中で魔物と化した蛭子と暗黒大魔王が消滅したイザナミをせせら笑っていた。
「魔王様 これで宇宙一の星、地球を占領する第一段階が成就いたしましたな」


「蛭子 よくやった。次はイザナギの番だ。地球の王の首を取れば宇宙一の美しき星はわれらのもの」


竜神化した両名はやがて人間の姿に瞬間に変わったのである。


「魔王様 ただ今より地球に戻り父イザナギを連れてまいります」


次は実の父の暗殺計画か?
 
 
 
タケイナダノミコトの解説は中断し、
 
「薫子さま 話が長くなりますので、今から先日の世界神宮大祭における大宮司のご教示のスクリーンをご覧いただきましょう」とミコトが言ったとたんに彼らの食卓の横1メートルに、1メートル角ほどのスクリーンが現れた。スクリーンは空間に浮いている。


 
★世界神宮大祭


 
神宮の大拝殿が映し出された。多くのことなる民族の参加者がいろいろな服装で椅子に座っている。宇宙服のような人もいる。日本人は全部神話装束だが、ほとんどの参加者もそれに近い服装である。


 
神主が大拝殿の社の前の黄金に輝く机と椅子に向かい進捗を始めた。


 
「世界神宮大宮司 救世主 スサノウノミコト様 お出ましでございます」と言った瞬間に大拝殿は大拍手の渦となった。
拝殿右から大宮司は従者にともなわれ歩いてきた。先ほど会った神々しい老仙である。


 
大宮司は椅子にすわり話はじめた。


 
「地球人類五色人代表の皆様 日本ムー大陸の主座「世界大神宮」にようこそ!世界ピラミッドラインの霊波線に乗り無事のご参拝をお喜び申し上げます。
しばし永きの間の安寧の地球も、宇宙空間のひずみから生じたと思われる邪神の大襲来を向えていることは真に遺憾であります。宇宙一美しい星、地球を守るため世界神宮を中心に勇往邁進をしなければなりません。


 
今、この祭典は神宮の太陽光発振機によるオーラレーザーで守られているゆえ安心しての参拝を確約いたいします。
邪神のスーパーサイエンスで作られた500体ものオロチ飛行艇は世界を焼き尽くす勢いで空爆を開始をはじめております。また邪神に憑依された人類がテロを敢行し自らの肉体を破壊してまでも、地球文明を破壊しています。


 
今、ここに地球国の国難に際し神宮南部に超大型太陽光レーザー発信神殿を建設することをお知らせいたします。従来のハイテク発振機だけではなく、邪を焼き殺すため宇宙創造の主神の御神体をご奉体するという人類史上初の神力とハイテクを組み合わせた立体神殿なのです。内密に現在まで建設を進めてきましたが、いよいよオロチの攻撃が激化する今日、公表に至ったわけです。この神殿が完成いたしますと世界ピラミッドラインのパワーはさらに増強され、世界各地の神社の世界神宮御神体も同等の力を発揮することでしょう。この立体神殿は高さ100メートル、周囲500メートルの完全ピラミッドであり、全てヒヒロカネを使うという従来の花崗岩中心の作りとは異なる最強神殿となります。そしてオロチの空爆を阻止できる従来のレーザーの力も増強され地球人類を守る救いの神殿となることでしょう」
会場は万来の拍手となった。
「ただいまから大祭ご参拝の皆様二万人に邪神からの霊障を、神剣による祓いにより断ち切る祓いの業を行います」
再び万来の拍手。
「では皆様、目をつむり頭を少し下げてください。10分の祓いを行います」


 
大宮司は腰の剣を抜き会場の参加者に向け剣をかざす。薫子には剣から放射される黄金の光が見えたのである。会場では何十名から絶叫がわきあがった。
「神剣に焼き殺される~!」という絶叫が多く、タケイナダノミコトの説明では憑依している宇宙の怨霊がうきだしている現象であり、このまま憑依されていると人格が変わりいつしか宇宙人の眷属テロリストになってゆくという説明を受けた。
絶叫は増えてゆく、暴れ回る人もいる。待機している神宮の神官が押さえつけ神宮内の医務室に運んでゆく光景が展開している。10分後、大宮司は剣をおさめ、両手を二万人に手かざしをした。約1分で浮いている憑依霊は鎮まり大宮司は
「皆さん 目を開け顔をお上げください」と言ったとたんに、また万来の拍手。奇跡の霊術に感動の嵐なのであった。



 
タケイナダノミコトは薫子に
「いかがですか、救世主の奇跡の霊術は?」


 
「感動しました。正に救世主!」


 
世界神宮大祭のシーンを見終えたふたり。
窓の外は鎮守の森のヒヒロカネでライトアップされたナイトシーンが美しい。


 
薫子
「感動しました。大宮司の霊力!」



 
ミコト
「では次に、薫子様の時代の記紀の真の記録と思われる話の続きをいたしましょう」


 

イザナミは暗黒大魔王と蛭子の策にはまり消滅してしまった。


 
イザナギはいつまでたっても帰らない妻を心配し、従者を連れ今回は10隻の天の浮き船で宇宙空間に旅だった。


 
イザナギの船を中心に9隻は円形にイザナギを護衛しながら銀河の果てに近いイザナミが消えたであろう地点に接近しつつあった、


 
先陣を飛ぶ船のパイロットが長距離を遠望可能な監視画面に突然、信じられない何百メートルともあろう大魔物を見たのである。
なんと目は飛び出し、口は耳まで裂けた大竜神の首が天の浮き船から八頭も円形状にでている船をである。


 
10キロ程度にイザナギ船団が迫ったとき、突然、八頭の魔物の口から赤い光が放射され、たちまちイザナギ船団の9隻を破壊してしまったのである。
大音響大振動でイザナギ船は大揺れに揺れパイロットは失神!副操縦士と残りの8名の従者も怪我をしたのものが多く、気丈なイザナギの子秋葉が操縦を代わり船を運転しはじめたところ、魔物船からの通信があった。


 
「イザナギノミコトに告ぐ、イザナミと蛭子は人質である。殺されたくなくば我が船について来るように」
というメッセージ。


 
秋葉が船を操縦しながら魔物船に従い、降り立った惑星は地球に似てはいるが、なぜか違う?波動は人間の暖かさを感じられない無明の惑星というイメージである。森も山も海もある。ほぼ地球と同じ。しかし何か違う。


 
「イザナギ船の全員は外に出よ!従わざればイザナミ 蛭子の命は亡きものと心得よ!」


 
全員が宇宙服を着て船の外にでた。


 
魔物船からなんと!蛭子がでてきたのである。それもひとりで。


 
「父上と我が弟よ。しばらく!」といった瞬間に腰から銃を抜きイザナギ船の従者を全員撃ち殺してしまったのである。


 
驚いたイザナギと秋葉を瞬間に取り囲んだ数体の黒い煙が人間と化し二人に銃を突きつけた。


 
数分歩かされ森の中に黒い屋根の大神殿が現れた。高さは100メートル以上。周囲は数キロあろうか?
黒い蟹のような悪趣味の神殿である。みるからに邪神が住んでいそうだ。


 
神殿の中に入れられた二人は大神殿の拝殿に入った。


 
蛭子
「父上 秋葉、ただいまから、宇宙を統御される神様がおでましになられる」


 
正面の神殿の前に机がある突然、赤黒い光が出現した。太陽の光とは違い邪悪丸出しの光である。邪が強すぎて見えない。


 
邪神
「ようこそ!地球の王イザナギとその後継者秋葉。担当直入に言おう、そなたが宇宙創造神より継承せし神との霊波線をつなぐ、ミタマを今、すぐに渡したまえ。それができないならば、そなたを殺した後にミタマをいただこう。ミタマを渡したならばイザナミは返してやろう」


 
イザナギ
「それはできぬ。イザナミが殺されても渡せぬ!蛭子 そなた哀れじゃのう!心まで想念まで宇宙空間の歪みより生じた悪に染まるとは」


 
蛭子
「じゃかましい!宇宙はわれらが物、ブラックホール様が主神に代わるのじゃ」


 
何十名のドレスを着た若い美女が突然出現した。蛭子にワイングラスのような器を渡し、血のような色の酒をついでいる。美味そうに一気に蛭子は飲み干したあと、また美女が酒をつぐ。


 
秋葉は霊視した。美女はトカゲである。元は半物質であり瞬間になんにでも化けられる超科学をもったブラックホールの眷属の霊であり、神ではない邪神なのだ。
ミタマとは地球の王たるイザナギが主神よりいただいたプログラムの集積体であり地球を神の世界のような安寧で天国のような世界にするためのパワーを中継する人類のためのものであり、人類が永遠に平和に科学文明を進化させ神の世界を地球に具体化するための神の代行者のみが神から授けられるものである。


 
イザナギも秋葉もブラックホールが蛭子を洗脳し、そのミタマを悪用し宇宙を思いのままにするという目的を知ったのである。


 
イザナギ
「私を殺し解剖しても、ミタマを使う言霊は魂が死んでも言わぬは!」


 
蛭子はグラスをたたきつけた。


 
イザナギ
「予想通りじゃ。この惑星は邪神の星。地球に似ていても主神からは人類が住むことを許してもらえぬ星。邪神の目的は宇宙一美しい星、地球を占領すること。肉体が許されぬ邪神が地球に降臨し地球人に憑依するという地球のっとりの遠大な計画」


 
蛭子
「父上、さすがですのう。では父上には人質になってもらい永遠にミタマのパスワードを聞き出すための拷問を与えましょう。秋葉も同じじゃ。そなた、もしかしてミタマの一部を継承しているかもしれぬからな。一番下の弟の金山彦は、いつか拉致しよう」


 
イザナギは後ろから蛭子に銃を突きつけられた瞬間、邪神神殿に大音響が響き渡った。
直系、20メートル幅5メートルくらいの黄金に輝く天の浮き船が神殿の扉を破壊し突入してきたのだ。
イザナギと蛭子は格闘となり蛭子はイザナギの足を離さないが黄金の船の光に霊力がでない。トカゲ美女どもも光のまぶしさに失神!


 
イザナギは叫んだ
「秋葉!そなただけは生き残り地球を救うのじゃ。母はもういない。こやつらに消滅させられている」


 
秋葉は断腸の思いで船に吸い上げられた。船のシャッターは閉まった。黄金の船は人質になった場合に備え母船の中に待機させていた小型戦闘船だった。太陽光発振機を搭載しオーラレーザーで防御する隠し玉だったのである。


 
続く