前回の続き

時宗
「大皇帝は日本の悠久の歴史に気づいておるな。

近頃、そんな気がする。日本国内の大乱も皇統の秘密の争奪戦が今までの戦の原因のひとつということもあるらしい。
近江の神社の秘密はごく一部の人間しか知らぬ。それとも大皇帝はそれほどの勘をもちあわせた恐ろしき魔物の化身ではなかろうか。
太古の黄金の国日本は空飛ぶ船を作るほどの力をもった国ゆえ、その秘密を解き明かし、さらに蒙古の王国を強大化する意図をももちあわせ、恐ろしき頭脳を持ち、武力ですべてを侵略統一する集団。
空飛ぶ火の玉を作り、鉄を自由に工作する技術をもちあわせた頭脳集団でもあるゆえ、そこまで歴史までも知悉した頭脳をもちあわせている危惧を感ずる」
*偽書はSFの宝庫。

実政
「そのとおり、熱田神宮のご神体、草薙の剣は謎の鉄。木箱に入れてあり、開けると病気になるという。そんなことを大皇帝が知れば熱田神宮までも襲うであろう」

時宗
「空飛ぶ船はその不思議な鉄でできていたかもしれぬな」
偽書によると、太古のスーパー金属、ヒヒロカネ。錆びない鉄。天の浮き船に使われる金属。

実政
「それらを悪用し神の怒りで太古の国々が滅びたかもしれぬな」

時宗
「滅ぼしの役、蒙古軍。永き戦になるぞ。されど、我が北条家は攻められねば{戦を起こさず}という家訓を遵守するよう子々孫々まで伝えよう。されど、確実なる侵略のときは別じゃ。こちらから攻めることもありえるわけだ。頼みましたぞ北条家を!実政殿!」

高橋克彦氏の「時宗」では金沢実時が「専守防衛」を述べている。真の専守防衛とは?

鎌倉の夜は更けてゆく

 

続く