「低貸」について | 老眼でリールが見えません(仮)

老眼でリールが見えません(仮)

大阪で暮らすサラリーマン視点で、パチンコ・パチスロに対する思いをダラダラと綴ります

今回、実戦なし時のヒマネタの上に大長文ですので読み飛ばしでOKです。(こんなに長くなる予定じゃなかったんですが……(汗汗汗))


■低貸が生まれた経緯


以前、私は「低貸には基本的に用が無い」と言っていました。それに対して低貸を主戦場にされている皆様から何度かコメント戴いた「低貸はダメですか?」という疑問に対して「低貸が生まれた経緯を知っているだけに、何かから逃げている気がする」と述べておりました。「何か」ってなんでしょう?


パチンコは1玉4円、パチスロは1枚20円で借りるのが「当たり前」という感覚があります。長年そうだったからです(低貸が根付いた最近になって打ち始めた皆様は、多分違う感覚でしょうね)。しかし「基準の抜け道を突く賭博性重視」の遊技機が増えてくるにつれ(パチスロは5号機移行時に大きな締め付けがありましたが、現在(4号機より勝てる率が少ない)賭博機が横行しているのは御承知の通りです)「基準を見直して大衆娯楽に回帰するべきだ」という声が上がるのと同時期に「今の機械を低価格で楽しめれば良いんじゃないか」という発想の転換がありました。これが低貸です。※考えた人、頭良いなぁ。


客が借りる率(店から見れば貸し率)を低くするから低貸営業と呼ばれるこの形態、最初は1パチから始まり、ほどなく5スロが始まりました。最初は「色モノ営業」として見られていましたが、法改正も規則改正も不要(店の裁量権の範囲内で実施可能:低貸開始時は多少の改正があったのかもしれません。不勉強のため良く知りません。すみません)、そのうえ客付きが良い(遊ぶための間口が広がり新規客の獲得も見込める)ことから、どんどん浸透していきました。2パチ、10スロといった中間レートの登場、低貸専門店の登場など、更なる広がりを見せて今に至っています。


遊技人口を増やす、それこそ大衆娯楽復権につながる試みですので、決してそれ自体は悪い事ではありません。でも「『基準を見直して』大衆娯楽に回帰するべきだ」という本来の論議から逃げてる気がするのも事実なのです。


■低貸に甘えて賭博機化が進む?


低貸が市民権を得て、営業形態として一般化していくにつれて「遊パチ」に代表される「基準を見直して大衆娯楽に回帰するべきだ」という声が小さくなっている、形骸化している気がするのは私だけでしょうか? 前述で危惧した通り「低貸で大衆娯楽に回帰できているのだから、規則改正などしなくて良いのでは?」という考え方が静かに、しかし確実に蔓延しているように思います。


「規則改正しなくて良い=今のままでいい」に留まっていればまだ良いのですが、ここまで低貸が一般化すると、ホールは当然低貸前提で売上目標や粗利目標を設定しますし、その希望を受けてメーカが低貸を前提にした開発を考えても不思議ではありません。出玉設計上の基準が低貸前提になるといえば良いでしょうか? 言葉は悪いんですが低貸という逃げ道ができたことで、パチンコもパチスロもタガが外れたように荒い機械が登場し始めたと考えています。


低貸が進んだにも関わらず、パチンコ業界の売上規模がそれほど変化していないことから(遊技人口の減少は止まらず、みなし機撤去時に潰れたホールも多いので最盛期との比較には意味が有りませんが、それでも20兆円規模を維持しているのは事実です)、低貸に土俵を移して遊戯費用の高額化が進んでいると言えるでしょう。


■20スロとリーマン


私が「一般的なサラリーマンです」などというつもりはありません。時間面・金額面で家族の理解を得られており、かなり恵まれていると思います。小遣いで打っているわけではなく、パチ&スロの軍資金は女房が出資、それを年利5%で返す(元本保証ですが「元金は退職金で返す」と言ってあります(笑:今返せと言われたら困る……いろいろお察し下さい(自爆)))。毎年末に5%の利息を払っている限り、文句は出ません。


ただし、他の多くのリーマンパチンカー&スロッター(特に所帯持ち)の皆様は小遣いで楽しんでおられるはずです。この不景気の中、50K以上の小遣いを貰っている人は少数派ではないでしょうか。100K以上になると探すのに苦労するかと。


仮に50Kの小遣いを貰っているとして、一般的な賭博機を20スロで遊んだとしたらどんなことになるのでしょう。リーマン以外の読者の皆様は「月に50Kしか使えない」と仮定して考えてみてください(バイトは禁止です(笑:多くの会社の就業規則に「副業禁止」条項がありますので))。


<仮想仕様>
ボーナス非搭載AT機。
天井1000G。天国ゾーンの天井は100G。
AT仕様:50G+α。純増2.5枚/G
セット継続なし。ゲーム数上乗せのみ。
メダル持ち30G/K


天井やメダル持ちでゼウスより甘い(笑)上記のような「事故待ち賭博機」仕様(「バイオ」系ですね)を考えた場合、休日朝から打って通常天井を喰らうと投資は30K以上です(いきなり天井を喰らう率は体感で10%(もっと?))。月の小遣いの半分以上が消えました。怖い怖い。事故が起こせずに50G単発で終わった場合の見返りは125枚です。このメダルは次のチャンスゾーン中に消えます(125枚=2.5K分で回せるのは75G)ので実質バックはゼロ(追加投資1K以上)です。2周目の天井を目指す軍資金はもうありません。


ホール関係者の皆様は、ホントに一回みんな落ち着いて深呼吸した後に考えて下さい。


「趣味はパチスロです。20スロしか打ちません」って言える(所帯持ちの)リーマン、現存してると思いますか? 月に50Kしか遣えない(念押ししますが「小遣い」です。100%スロに遣っていいわけありません)としたら、自店にある機械を朝から打てますか?


■結局低貸を打たざるをえないが


冒頭で述べたように、私は「原則低貸には用が無い」という考え方でした。しかし昨年の収支が酷過ぎたために今年は低貸中心で打っています。投資感覚的には、以前の20スロと同じ(まだやや甘い気がする)ですが、仕様の好み的に「賭博機」に手を出していないからであって、デビル・秘宝伝・ゼウス他の賭博機達を打ち回ったら低貸登場前の20スロ以上の投資速度を感じるのではないでしょうか? 20スロを打っていた時は低貸で勝負している皆様を「ぬるま湯でのんびりしておられる」くらいのイキった上から目線で見てましたけど、とんでもない勘違いでした。こっちが常温(けっこう熱め)です。今、低貸のシマから20スロを見ると、打てるのはホントにノーマル・RT機だけ。AT(ART)機は沸騰してる源泉(まさに地獄湯)に見えます。


※今までチョイチョイ使ってましたが「イキる」は関西限定ですよね。「(腹立つ類の)カッコをつけている」くらいの意味です。


カエルを水に入れてゆっくり沸騰させると、上がる水温に気付かずに煮上がってしまうという話は有名ですが、20スロで煮上がる前に脱出できて良かった……。


……良かった? 前述のように「低貸前提」での開発が進んでいけば、低貸で煮上がってしまうことも充分考えられます。熱すぎることに気付いたら、今度はどこに行けばいいんでしょう?


※感じる温度には個人差があります。上記の比喩はあくまで私個人の感想であり、今の20スロで丁度良い「湯加減」の方も居ると思います。


■結論


低貸だけでは大衆娯楽の復権は成りません。適切な投資範囲で遊べるような「定期的な規則改正」の検討を同時に進めることが必要不可欠だと考えます。


<余談1>
小遣い制のリーマン目線で論じましたので「無理してまで金の無いリーマンが打つ必要は無い」という御意見の方も居ると思います。「今の仕様で稼いで食ってるんだ、口出しするな」という御意見もあるでしょう。それらを無視するつもりはありません。収支にこだわる姿勢は同じでも「勝ったり負けたりしながら最終的に少し勝ちたい」層もいれば「生活の糧として充分な量の勝ち額を確保したい」層や「とにかく一攫千金を夢見たい」という層もいると思います。「規則改正も散々やってきたが、すべて無駄だったではないか」「遊技業界に学習能力は無く、どうやっても賭博機化の方向に流れるのだ」という御意見も耳にします。


根本的に営業許可の種類を分けるという方法もあるのかもしれません。おりしもカジノ法案が検討されており、これが風適法の「新設9号営業(※)」になるのか、競馬みたいな公営ギャンブルになるのかは判りませんが、ギャンブル性の高いパチンコ・パチスロはそちらで許可すればいい。反動で7号営業(従来のホール)の遊技機は出玉性能を抑えた低投資前提の機械になり、客の選択肢を増やす方向に進めば良いと考えています。


※風適法でいう風俗営業は、1号~6号がキャバレーとかクラブ他の(接待を伴う)飲食業です。7号からが遊技場経営で現在は
  7号:ぱちんこ営業、雀荘
  8号:ゲームセンタ
の二種類しかありません(接待飲食の続きに付け足しみたいになってる時点で、かなり不自然な気がしますね)。ちなみに性風俗は全然別の区分けが存在します。


<余談1の余談>
性風俗の区分けは、「1号がソープランド」っていうのは知ってますけど、新手の商売がどんどん出てくるので現在何号まであるのか全然把握してません。テレクラとか出会い喫茶とか、次々とグレーなものが区分けに収まっていき、今一番グレーなのは多分「ガールズバー」ですね。最近「おにぎりあります」というガールズバーの客引きが増えましたが、どうも「ご飯もの(=主食)」を出しておけば風適法の範囲から外れるのだそうです。凄いイタチごっこ……。


<余談2>
以前、当ブログでも触れた「馬券リーマン」の裁判(所得税法違反)ですが、2/7に求刑「懲役1年」で結審、判決が5/23に言い渡されるそうです。どんな結論が出るのか(被告のリーマン氏に対しては不謹慎ですが)注目しています。


前回記載時に数字の事実誤認もあったので要点を再掲:
大阪のサラリーマン氏が競馬予想(というより「最も配当が良くなる多点張りの選定と自動購入」を行う)ソフトを開発。100万の元手で3年間運用し、その結果
  投資総額:約28億7千万円
  回収総額:約30億1千万円
  利益:約1億4千万
となったところ、脱税容疑で逮捕された。
  課税額は約6億4千万円
約7千万納付したうえでなお、約5億7千万の脱税に問われている。


課税額の根拠(法律的には正論です):
競馬の配当は「一時所得」であり、当たり馬券の購入費約1億3千万のみを経費として認める。つまり
  投資総額:約1億3千万円
  回収総額:約30億1千万円
  利益:約28億8千万
となり、28億8千万に対して課税される。


被告側の主張:
馬券購入はシステム的に継続して行っており、収益を目的とした「事業活動」に準じる。従って得られた収益は「雑所得」であり、ハズレ馬券の購入費も含めた「約28億7千万円」が経費である(=利益1億4千万にだけ課税してくれ)


くわえて「中央競馬界からHP他による納税についての注意喚起が無いのがおかしい」という論点も出ているようですが、このリーマン氏「前述、課税額の考え方」については「知ってた(うえで、到底払える額ではないので払わなかった)」らしいのでいささか弱いかも。起訴時点で退職されたそうですし、利益約1億4千万のうち7千万近くはリーマンショックで失っていた(だから約7千万しか納税できていない)そうなので、ホントにリーマン氏には同情の2文字しかありません。


以前も書きましたが、これが有罪になったら誰も馬券なんて買わなくなるんじゃないでしょうか。少なくとも「競馬で食ってます」という人たちは廃業を検討しないと……(汗汗)


※他の公営ギャンブルも競馬と同じ「一時所得」という考え方です(宝くじ他の公営くじの賞金は非課税でしたっけ?)。