昼間のこと。




交差点で、信号待ちをしているタクシーに手を挙げた。

車まであと4メートルのところで信号が青になったため、

後ろの車を意識して小走り。

運転席を振り返って軽く会釈をしていざ乗り込むそのとき、




バャバャバャバャバャバャ!!!




その車に、激しくクラクションを鳴らされた。

なんと、6回も。

ものすごい怒りを表現している。




…確かにタイミングはよくなかった。

信号変わってから3秒〜5秒、お待たせした。

しかしそんな烈火のごとく鳴らされると、それはさておき一体どんなパーソナリティ?と興味がワクワク。




会釈をしたときの印象では、ニット帽を目深にかぶり、シートに浅めに腰掛けたちょっと悪そうな男…




と、ちょうどその車が横に列んだので、チラッと横目で見ると…




お爺さんではないか。




運転席も爺さん。

後部座席も爺さん。

爺さんがぎっしり。

もしかしたら、ひとりぐらい婆さんがいたかもしれない。

運転していたのは恐い若者ではなく、

毛糸の帽子をかぶった、単に座高の低い爺さんだった。




そして、そのうちのひとりのお爺が思いきりこちらに向かって身を乗り出し

「ああああ世にも憎ったらしいわい!血祭りじゃ!」

みたいな震えた表情(ちょっとグワシの表情にも似ている)でこちらの顔をのぞこうと躍起になっている。




呪いというものが本当に存在するのならば、私は完全にあの老人にかけられたと思う。




けど、その車、めちゃスピード出してた。ちょっとシャコタンだったし。




さあ、曲解説します!

今日は八曲目、「サーファー・ガール」。

作曲は高梨 学氏、アレンジは奥田健介氏。




演奏はドラムに坂田 学氏、パーカッションにASA-CHANG、ベースにtatsu氏、ギターに奥田氏、キーボードに渡辺シュンスケ氏。

ペダルスチールに田村玄一氏。




高梨さんはニューヨークのd-vashというバンドのコンポーザーです。

私は「top」という曲がとても好きで、全く面識はなかったのですが、今回思いきってお願いしたのでした。




洋楽っぽさと日本のポップスっぽさ、不思議なバランスで混在しています。




アレンジはリンダ・ルイスの『セカンドネイチャー』みたいなサウンドに影響されました。




この曲はもう、都市です。私の思う都市。




歌詞のほうはレコーディングの終盤までずっと書けなくて悶え苦しんでいました。

そんななか、現実逃避で参加したなにかの打ち上げで20代前半の女子と話し、それがヒントとなって一気に書き上げました。




31歳ともなると、

若い女子はいいよなあ〜、チッ

とか思いがちでしたが、思い出せば……そんなことなかったなあ。なんて。

きっと、それぞれの時代にそれぞれの敵がいるものなのでしょう。




今日の私の敵は老人でした。






写真はペダルスチールを録音し終え、皆で確認しているところ。

右から田村さん、マネージャー(ボーダー)、奥田さん(背中)、そして…ひょっこり現れたチガさん!

偶然隣のスタジオに入っていて、一緒に聴いてくれました。

嬉しかったので矢印でマーキングしてしまいました。