私の一番古い記憶。




それはたぶん、30年前のちょうど今頃のこと。

おばあちゃんの家の二階の和室に、お雛さまが飾られていた。

静かな昼間。




私はその前で少し歩いていた。




と、それを見つけた誰かが急にわわっと叫んで、

私を抱っこして、あっという間に階下の居間に運んだ。




それからその人は皆を集めて

「もういっかいやってみて!」

というようなことを言う。




ということで、歩いた。




そうしたら一斉にうわっと盛り上がった。

その場がキラキラッとした。

抱っこして褒められたし、私もつられて楽しくなって笑っていた。




そう、初めて歩いた時のこと。




でも、ここにひとつの違和感も記憶している。




皆が笑って、私も笑って、満場

「やったね麻子!」

という大変おめでたいムードでひとつになっていたわけだが…




私はへらへら笑いながらも




「?」




だった。




「?」




を言葉にすると、




「意外」




といったところか…




私はじつは、もうちょっと前から歩いていたのだった。

お雛さまの前でも何度か歩いていた。

それは実際にそうだったのか、

もしかしたらその気になっていただけなのか。

本当のところは分からないけど




「えっこれってこんなに褒められることなの?!

もうちょっと前から出来ていたけど、特になんとも思っていなかったよ」




と、皆に褒められるのが少し分不相応なことのように感じていた。




「こんなに喜んでもらっちゃって、なんかすんません」




という感じ。




自分のことながら、人間ってけっこう幼い頃から複雑な感情を持っているんだなあと思う。




と同時に、自分の成長のちょっとしたことをいちいち祝ってくれる家族がいてよかったと思う。

そういう人達がいなかったら、自意識が育たなかったかもしれない。




自意識、いまとなってはときどきジャマだけど…




ちなみに、去年の日記にリビングにキュウキュウのお雛さまの写真を載せましたが、

あれがまさにその雛壇です。




違和感の真相を知るのは、あのレッドカーペットの上の人達だけ…






ところで、遅ればせながら、ときまほメモリアル終了しました。

応援してくださった皆様、どうもありがとうございました!

やっと馴れたのになぁ…